上写真＝田代雅也が追加点を挙げて勝利に貢献。記念のJ1初ゴールだ（写真◎J.LEAGUE）
■2022年4月29日 J1リーグ第10節（三協F柏/5,114人）
柏 1-4 鳥栖
得点者：（柏）細谷真大
（鳥）本田風智、田代雅也、福田晃斗、飯野七聖
「僕のミスから取られたので」
「セットプレーから点が取れたことは武器にしていきたい」
サガン鳥栖の川井健太監督は力強く宣言した。J1第10節の柏レイソル戦で挙げた4ゴールのうち、最初の2点がセットプレーから。27分の先制ゴールは左からのジエゴのロングスローを福田晃斗がヘッドでつなぎ、本田風智がヘッドで押し込んだもの。そして、45分の追加点は右サイドのFKからだった。
右足の小野裕二と左足の堀米勇輝がボールのもとへ。
「インスイングかアウトスイングか、どっちかなと思いながら、あとはタイミングだけ頭の中で描いていました」
ファーサイドで待ち構えた田代雅也は、その瞬間をイメージしていた。蹴ったのは小野。アウトスイングだ。
「あの位置からニアを狙ってきたボールで、ファーで詰めようと思ったところで、裕二くんがディフェンスラインとキーパーの位置を見て最高のボールをくれたので、触って枠に入れるだけでした」
ゴール前を横切るようにしてファーポストの方に流れてきたボールを膝で押し込んで、追加点。うれしいJ1での初ゴールとなった。
川井監督もセットプレーにおける田代の存在感に信頼を置く。
「セットプレーという点では、まずは守備で跳ね返すことですね。あとは、自分で点が取れるようになればもっと良くなるので、攻守ともに役割は多くなります」
センターバックとして、185センチの長身とハイジャンプで守備におけるパワーはよく知られるところ。そこに「ストライカー」としての役割を加えれば、鬼に金棒だ。だが本人は、ゴールよりも、勝利よりも、失点を悔やむ。
「（失点）ゼロで終わることが大事で、僕のミスから取られたので反省しなければいけない。あの1点で流れが変わったので、スキを見せないでもっと成長していきたい」
3バックの中央で守備を統率する立場だからこそ、2-0で迎えた55分の失点に厳しく目を向ける。マテウス・サヴィオのクロスに対して田代がバックステップを踏んで跳んだがわずかに触れず、その後ろのファン・ソッコがクリアしたものの武藤雄樹にシュートを打たれ、細谷真大に押し込まれている。最初に自分がしっかり弾き返さなければならないという後悔だ。
「このチームで成長させてもらっていますが、失点シーンは自分の甘さ。できることを伸ばして、今日のようなところを修正していきたいです」
まずは無失点。その上でまたセットプレーからゴールを決める。そうやって勝利に導く日がいつか来ることを予見させる90分になった。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE