4月24日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)で川崎フロンターレが地元のジョホール・ダルル・タクジム(JDT)に5-0で完勝。きっかけは脇坂泰斗の美しすぎる直接FKだった。14分の自身今季初ゴールで自信を深め、残り2試合の勝利を誓うのだった。

上写真=脇坂泰斗の美しいFKがチームを乗せた。「フィーリングはよかった」(写真◎KAWASAKI FRONTALE)

■2022年4月24日 ACLグループI第4節(スルタン・イブラヒム・スタジアム)
ジョホール・ダルル・タクジム 0-5 川崎F
得点者:(川)脇坂泰斗、小林悠2、マルシーニョ、チャナティップ

「やっとチームの力になれたのかな」

「背番号14」が「14分」に今季初ゴールだ!

 ACLのグループステージは2巡目の対戦がスタート。川崎フロンターレがその最初に地元のJDTから奪った先制点は、脇坂泰斗がFKを直接決めたものだった。

「前日練習でもフリーキックを決めていたので、蹴るときのフィーリングはよかった」

 小林悠が倒されて得たゴール中央、20メートル弱の位置のFK。右足から放たれたキックは高さ、速さ、角度、回転とも理想的で、壁を超えて鋭く左に曲がり、GKの伸ばした手をはじいてゴールに飛び込んだ。

「ようやく今シーズン初ゴールを決めることができました。やっとチームの力になれたのかなと感じています。絶対結果を残してやる、自分がチームを勝たせるんだという思いで試合に臨んだし、先制点はその強い気持ちだけで決めたようなものです」

 技術的に申し分のないキックだったが、それよりも気持ちが乗り移った実感が強いというのだ。チームの中心である自覚と、その理想への距離を近づけたい思いでいっぱいだった。

「最初はけっこう相手のペースだったけれど、ヤスくん(脇坂)のあの一発で試合の流れがこちらに傾いたかなと。あの1点はすごく大きかったと思います」と佐々木旭が言えば、家長昭博も「試合の入りは緊張感があったけれど、1点入ってから相手の気持ちの部分が少しずつ落ちていったのを感じました」とピッチの上でもインパクト十分の先制ゴールだったことを明かしている。鬼木達監督も「1点を取って自分たちらしい崩しからの得点が力を与えてくれました」とゴールラッシュのきっかけになった先制点を喜んだ。

 このゴールで脇坂のプレーに自信が満ち満ちていった。シンプルにボールを配って相手のプレスを無力化し、前を向けば小林の動き出しに合わせて絶妙の裏抜けパスを送り込む。ターンも軽やかでプレスバックも効果抜群、すべてに堂々としたプレーぶりだった。

 31分の2点目も鮮やかだった。家長の横パスを受けると、右裏に走り抜けた山根視来に合わせて左足のワンタッチパスで滑り込ませた。3人の完璧なリズムで崩して、最後はセンタリングを小林悠ががら空きのゴールに蹴り込んだ。ワンタッチパスの使い手の面目躍如だ。

 このあと、小林がもう1点加えて前半を3-0で折り返し、後半にはマルシーニョ、チャナティップが決めて5-0の圧勝。

「でも、これを次につなげないと意味がないと思います。今回もそうですけど、次もその次も絶対に勝ちが必要なゲーム。頭を切り替えて、最善の準備をして、総力戦で次の試合に向かいたい」

 次の相手は韓国の蔚山だ。昨季のこの大会でラウンド16で当たってPK戦で敗退させられ、今回の初戦ではアディショナルタイムに辛くも追いつく展開。決着をつけなければならない。

 再び、その右足が輝けば、リベンジは成功する。