名古屋グランパスは20日、アウェーでFC東京と対戦した。鹿島アントラーズから中2日で向けた厳しい試合はスコアレスドローに終わった。ただ、持ち味の堅い守備に加え、攻めに転じた際の迫力が徐々に増していることを印象付けた。そんな成長を続けるチームの中で躍動したのが、右ウイングバックを務めた吉田豊だった。

上写真=FC東京戦で先発した吉田豊。写真は鹿島戦(写真◎J.LEAGUE)

戦う気持ちを出していこうと

 吉田はFC東京戦で定位置である左サイドではなく、右のウイングバックで先発した。前節の鹿島戦で吉田自身は途中出場で9分間のみプレー。中2日で迎えた一戦であり、コンディション面を含め、チーム事情を考慮しての起用だろう。幅を取りつつ、機に臨み時に応じて前に出ると、攻撃の一翼を担った。

「試合の入りから前節の鹿島戦のように球際も強く、チームとして攻守にわたって戦う気持ちを出していこうという考えのもとでやれたと思います」

 終始一貫、アグレッシブな姿勢を示した。パスをワンタッチで展開するプレーも目を引いた。「カウンターでは自分のスピードや推進力を生かして、前に出ていこう」と考え、「ここぞ」の場面は逃さないことを意識していたという。名古屋の攻めに厚みをもたらす存在となった。

 25分には右サイドを攻略し、稲垣祥のシュートチャンスを創出。後半になっても躍動感を維持し、66分には仙頭啓矢のクロスの流れからこぼれ球をボックス内で拾って自らシュート。枠を逸れたが、その場所に、いた。そして74分にはマテウスにシンプルに渡して金崎夢生のシュートにつなげた。

「3ー5ー2で、逆サイドからのクロスに、チャンスがあれば前に出る」という意識も確かに見て取れた。試合は0-0でフィニッシュすることになったが、勝ち点1を得たことに吉田はフォーカスした。

「本当は勝たないといけないというか、勝ちたいという思いがあります。でも、なかなか勝っていないリズムの中で、アウェー2連戦で勝ち点2を取れた。それは、今後生かしていかなければいけないし、そこまで悪くないと僕は感じています」

 鹿島、FC東京とのアウェー連戦は内容面も含め、チームの今後を期待させるものだったと振り返った。

「これがずっと引き分けで、負けてを繰り返すようであれば全然意味のない勝ち点2ですが、次の試合、ルヴァンカップを挟みますけど、勝って勝ち点3を取れれば、すごく意味があると思う。そういうところでは、自分たちがいま持っている100%を、僕自身もチームも出せたと思います」

 鹿島戦に続くスコアレスドローで手にした勝ち点2を、飛躍につなげるポイントにできるか否かーー。それこそが重要なのだと、吉田は強調した。