川崎フロンターレは4月18日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)グループステージ第2戦で、中国の広州FCに8-0で圧勝した。最大のトピックはチャナティップの移籍後初ゴールだろう。初のフル出場も果たして、仲間たちから大きな信頼を集めた。

上写真=チャナティップは移籍後初ゴールで勝利に貢献。コンディションも上がってきた(写真◎AFC)

■2022年4月18日 ACLグループI第2節(タン・スリ・ダトー・ハジ・ハッサン・ユヌス・スタジアム)
広州FC 0-8 川崎F
得点者:(川)知念慶2、車屋紳太郎2、小林悠2、宮城天、チャナティップ

「チームの力になってくれました」と鬼木監督

 中2日の6連戦というスケジュールで、韓国の蔚山との初戦に辛くも引き分けた川崎フロンターレ。続く中国の広州FC戦で鬼木達監督は、GKチョン・ソンリョンを除くフィールドプレーヤー10人全員を入れ替えてピッチに送り出した。

「この大会が始まる1カ月ともう少し前から、総力戦になると選手には話していました。当然、多くの選手を替えることは難しいところはありますが、自分もそうやって話を促していた中で、自信を持って送り出せる状態でしたし、心配せずに送り出せたと思います」

 鬼木監督に不安はなかった。若手主体で明らかに戦力が劣る相手に、8-0。

「選手たちも期待に応えてくれましたし、今シーズン、得点の部分で難しいところがありましたが、こうやって3点以上を取ってくれたのは素晴らしかったと思います。こういう形で総力戦を続けていきたいと思います」

 8ゴールのうち、7点目を決めたのがチャナティップだった。序盤から左インサイドハーフで快活にボールに絡むと、移籍後初ゴールは69分に生まれた。中央をドリブルで破り、左に向かってから右に持ち出して角度をつけてゴール左に送り込む冷静な右足のフィニッシュ。点差もついていたから喜びは控えめだったが、ようやくスコアシートに名前を刻んだ。

 ドリブルの鋭さが目についたが、トランジションの速さが予備動作になった。右の瀬古樹の中央へのパスが相手にクリアされかけたところで素早く前に出て奪って、そのままドリブルへ。この日はほかにも即時奪回の高い意識が目立ち、39分のチーム5点目も、ペナルティーエリア手前のクリアボールをぐっと前にダッシュしてチャナティップが引っ掛け、知念慶に預けてリターンを受けてから宮城天がシュート、右ポストに当たって小林悠が押し込んでいる。実力差が大きいから当然とはいえ、このチームの流儀が体に染み付き始めたことを示していた。

 鬼木監督もその姿勢を高く評価する。

「非常にチームの力になってくれました。パスを受けるところ、パスを出すところ、望んでいた得点も取ってくれたので、力になってくれたと思います。新しい選手はチャナティップだけではなくて時間がかかるものですが、しっかり見守りながらいきたいと思います」

 84分に橘田健人が宮城に代わって入ると左ウイングへ。4月2日のJ1セレッソ大阪戦で前半のみで交代したあと欠場が続いていたが、約2週間ぶりの試合で移籍後初のフル出場も果たした。タイの英雄がバンコクから直線距離でおよそ1400キロ南のマレー半島の先、マレーシアのジョホールバルで輝いた。

 助けられたのは、松井蓮之だ。この試合がプロデビュー。しかも慣れない左サイドバックで、気候やピッチコンディションも日本と比べると違いが大きい状況での出場だった。

「左サイドバックはあまりやっていないポジションでしたけど、センターバックの(車屋)紳太郎くんや(塚川)孝輝くん、、アンカーの(小塚)和季さんや前のチャナ(チャナティップ)、(宮城)天がカバーしてくれたからそ、自分はそこまで難しいことはせずシンプルにパスやランニングができました」

 相手の実力にかかわらず、試合に出て理解を深めて、みんなでチームになっていくというのは、こういうことだ。

「信頼というのは自分自身、そしてチームメイトにも与えたと思います」と鬼木監督。「ただ外国籍枠、疲労の部分もありますので、そのあたりを考えながら臨んでいきたいと思います」と今後の起用に慎重さもうかがわせたが、今季最大の補強となったチャナティップの復調は間違いなく、このチームをさらに進化させる。

【Next Game】
4月21日(木)23時 川崎F vs ジョホール・ダルル・タクジム DAZN独占配信