AFCチャンピオンズリーグ(ACL)に臨む川崎フロンターレは、マレーシアのジョホールバルでの戦いだ。ルーキーながらすでにポジションを確保している佐々木旭にとっては、初めてのACLになる。かつてスタンドで熱狂を肌で感じた経験をいま、生かすときが来た。

上写真=佐々木旭は糖分補給のためにチョコレートをたくさん持ち込んだが、食事でも提供されるので「せんべいとかしょっぱいものにすればよかった」と笑う(写真◎スクリーンショット)

「自分が疲れたとは言っていられない」

 17歳の佐々木旭は、その場所にいた。2017年11月25日、ACL決勝第2戦が埼玉スタジアムで行われ、第1戦に1-1で引き分けていた浦和レッズが1-0でアルヒラル(サウジアラビア)を下して、アジアチャンピオンになった夜。

「レッズが優勝した試合で、ラファエル・シルバが決勝点を決めたときは実際にスタジアムで見ていました。レッズのサポーターの迫力がすごかった印象がありました」

 埼玉県川越市出身で、埼玉平成高でプレーしていた佐々木少年が、大きな大きな刺激を受けた。今度は自分がその場に立つための挑戦が始まる。ルーキーイヤーでここまで早くも8試合1得点。そして、初めてだという国外での国際試合に臨む。

「ACLを経験できるのは幸せなことだと思うので、この舞台に立たせてもらっていることに感謝して、持っている力すべてを出し切って、まずは予選6試合すべてに勝てるように頑張っていきたい」

 中2日の6連戦という超過密日程に加え、暑いと聞いてはいたが、マレーシアの高温多湿は予想以上だったという。初めてのことばかりで適応力が問われるが、「右サイドバックでは(山根)視来さんが去年からずっと出ているので、自分が疲れたとは言っていられないです。連戦でもアグレッシブに頑張っていきたい」と前向きなのが頼もしい。

「あんまり頭の中がごちゃごちゃしている感じはないですし、試合に出させてもらっている以上、頑張ろうと思います。JリーグだからとかACLだからということは関係なく、その気持ちは変えずにやっていきたいです」

 つまりは、平常心で戦う準備はできているということだ。

 4月15日、日本勢の先陣を切って臨む初戦では韓国の蔚山と対戦する。昨季、川崎Fがラウンド16で敗れた相手。大学生だった佐々木の目にはどう映ったのか。

「その試合は見ていました。印象としては右サイドハーフの選手(イ・ドンジュン)が速いなというのと、フロンターレはチャンスは結構あったので、決めきれていれば勝てた試合だと思いました」

 だから今度は、自分のプレーで勝利に導く。

「蔚山とはホテルが一緒なので会うことがあるんですけど、すごく体がでかいなという印象でした」

 その強靭な肉体を無にするようにするりとかわしていく軽快さが、佐々木の持ち味。期待のルーキーのACLデビューはまもなくだ。