ヴィッセル神戸がまたしても勝利に届かなかった。4月6日の明治安田生命J1リーグ第7節で、FC東京を相手に先制しながら3失点で逆転負け。11分の先制ゴールのきっかけを作った汰木康也は「チームとして」この苦しみを乗り越えていくと誓うのだ。

上写真=汰木康也(左)と渡邊凌磨の攻防。神戸の左サイドでの争いは90分を通して見応えがあった(写真◎J.LEAGUE)

■2022年4月6日 J1リーグ第7節(味スタ/13,814人)
FC東京 3-1 神戸
得点者:(F)アダイウトン、森重真人、ディエゴ・オリヴェイラ
    (神)山口蛍

「ゴールに絡める自信はありました」

 逆転負けのもどかしさと、自分らしさを表現できた手応えと。汰木康也はその両方を持ち帰ることになった。

 FC東京とのアウェーゲームで、先制ゴールは大迫勇也とのコンビネーションが生きた。11分、左の大迫に預けてから内側を縦に走り抜けた。相手のサイドバックとセンターバックの裏は何度も狙っていて、そこに大迫から速さも強さもベストなボールがスペースに流し込まれた。

「得意なポジションをやらせてもらいました。初めて左サイドに張らせてもらったので、強みを出してゴールに絡める自信はありました」

 大迫のパスを受けてゴールに向かってシュート、GKに弾かれたが、相手がクリアミスして中央にボールが戻ってきて、山口蛍がそのまま蹴り込んだ。「先制点は自分の視野の狭さでアシストまでいけなかった」と決めきれずに苦笑いだったが、「チャンスは作れたし、強みは1試合を通して出せたと思います」と得意のポジションでプレーできた成果を感じている。

 だからこそ、責任がのしかかる。

「個人的には1点取れるところもあったし、アシストできるところも1、2回はあったと思います。精度や質のところは自分の強みでもあるので、もう1回こだわってゴールを作らないと今日みたいな展開になる責任を感じています」

 そのために、肩に力を込めてプレーするのはまた少し違う。伸びやかにボールとともにプレーするのが最大の持ち味。それを、必要以上の思いで封じ込めるのはもったいない。

「ガチガチにやるわけじゃないけど、余裕を持ちながらをゴールを作れるようにやっていきたいと思います」

「ゴールを作る」という表現がそれを表しているだろう。「ゴールを取る」のではなく、みんなで作り上げていく。

「自分たちの強みをもっと出して、絶対にいいサッカーができると思いますし、勝てる流れを作る自信はあります。苦しい状況だけどコミュニケーションを取って乗り越えて、強いチームになっていければ。必ずチームとして乗り越えたいと思います」

 セレッソ大阪との次節でもみんなでゴールを作って初勝利をものにして、気持ちよくAFCチャンピオンズリーグに臨みたい。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE