4月6日、ミッドウィークのナイトゲームとなった明治安田生命J1リーグで、FC東京とヴィッセル神戸が対戦した。未勝利の神戸が11分に先制して幸先の良いスタートを切ったが、その後にチャンスを作り続けたFC東京が54分、57分の連続ゴールで逆転。66分にもダメ押しして、今季初の逆転勝利を収めた。

上写真=ダメ押しの3点目を決めたディエゴ・オリヴェイラを中心に笑顔。FC東京が鮮やかな逆転勝利を手にした(写真◎J.LEAGUE)

■2022年4月6日 J1リーグ第7節(味スタ/13,814人)
FC東京 3-1 神戸
得点者:(F)アダイウトン、森重真人、ディエゴ・オリヴェイラ
    (神)山口蛍

「結果が示す以上に内容はいい」とリュイス監督

 アダイウトン、森重真人、ディエゴ・オリヴェイラ! あっという間の逆転劇だ。先制されたFC東京が3分間で2ゴール、その9分後にもダメ押し点を挙げて、今季初の逆転勝利をもぎ取った。

 スタートは神戸のものだった。左に大迫勇也が開いて受け、内側を汰木康也が抜けていく。神戸がFC東京の左サイドを破って先制だ。汰木がそのままゴールに向かってシュート、GKヤクブ・スウォビィクがブロックしたものの、こぼれ球を長友佑都がクリアしたボールが中央に戻ってしまい、山口蛍がそのまま蹴り込んだ。神戸が初勝利に向けて、11分でリードを奪う好スタートを切った。

 ただ、このあとから神戸はあえてペースを落とすような戦いに持ち込む。ブロックをミドルゾーンにセットしつつ、FC東京の攻撃の勢いをじんわり吸収していく。だが、FC東京の森重は「ボールを持たせてくれる」と好感触だった。

 FC東京は左サイドはアダイウトンの突破と東慶悟の裏への抜け出し、右サイドは永井謙佑、安部柊斗を渡邊凌磨のパスで生かすという攻撃を繰り出した。27分には右から崩して永井が狙い、28分には相手ミスから中央を東のスルーパスで割ってディアゴ・オリヴェイラがフリーでシュートを放つが左へ。40分には右サイドに高く出た渡邊の鋭いクロスに永井がダイレクトで打ったが、GK前川黛也にブロックされた。

 後半に入ってもFC東京の優勢に変わりはない。むしろ、キックオフからより攻撃にパワーを注いで、神戸はそれを受けてしまった。54分、右サイドで渡邊のパスを裏で受けた永井が突破から優しいクロスを送ると、逆サイドでアダイウトンがヘッドで押し込んでまず同点。57分には左サイドから渡邊が斜めに中に差し込み、永井がさらに中へ、アダイウトンが落とし、ディエゴ・オリヴェイラも下げて狭い空間を抜けると、最後は森重が右足をコンパクトに振って、ダイレクトでゴール左に蹴り込んだ。

 仕上げは66分。青木拓矢が中央に縦に入れたパスを長友がフリック、DFが処理を誤ったところでディエゴ・オリヴェイラが奪って、ていねいに左足でゴール左に流し込んだ。

 神戸は元FC東京の新加入選手、橋本拳人を投入、その後も交代選手を活用して4-3-3の並びにして最後までゴールをあきらめなかった。だが、要所でミスが出て逆襲はならず。前節の京都サンガF.C.と同様に、先制してから3失点で逆転負け。リュイス・プラナグマ監督はそれでも、「結果が示す以上に内容はいい試合ができたと思っています」と前向きだった。

「試合をコントロールする時間が長かったですが、相手の作った2つのチャンスが入ってしまった」

「サッカーではこういうことが起きるときには明確な理由を探すのは難しいものです。こちらの細かなミスや相手の細かな命中率で決まってくることもあります」

 初勝利はお預けとなったが、京都戦より可能性は高まったという見立てだった。

 FC東京のアルベル監督は、今季初の逆転勝利にも冷静だった。

「後半からプレスが効いていましたし、ボールを保持することとゴールに向かう積極性のバランスが取れていました。多くの決定機を作り、そこから複数のゴールを生み出すことができて、継続的にこの試合で成長したことをうれしく思っています」

 勝ちながら成長するのは、アルベル監督が目指すところ。内容そのものはさらなる改善を図っていくものの、チャンスを数多く作ってゴールを奪い、勝利を手にする、という戦いぶりは、まさに一つの理想の形だっただろう。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE