川崎フロンターレで2年目のシーズンを戦う小塚和季が、出場時間を伸ばしている。中断前のサンフレッチェ広島戦では今季初先発も果たした。攻撃センスは折り紙付きで、それをどうピッチの上で描くかに向き合ってきた。少しずつ最適解に近づいている。

上写真=小塚和季は守備の課題に向き合いながら、チームの力になっている(写真◎スクリーンショット)

「見ていて楽しいプレーを意識して」

 川崎フロンターレに加わって2年目、小塚和季が存在感を増している。3試合連続で交代出場を続けたあと、第5節のサンフレッチェ広島戦でインサイドハーフとして先発出場、67分までプレーして2-0の勝利の一員になった。

「去年よりも戦えるようになっていると思います。攻撃の部分で慣れてきたところもあるだろうし、落ち着いてプレーできています」

 プレー機会を増やしている要因を、こう自己分析する。移籍してきた昨年から、守備への関わり方に課題を感じていると話していて、向上に取り組んできた。その成果が「落ち着き」というわけだ。

「個人で奪うところは去年からの課題でした。奪い切ることと寄せるスピードは去年よりも良くなってきています」

 2020年まで所属していた大分トリニータと川崎Fとでは、プレーテンポが異なるだけに困惑もあったというが、「川崎のスピードに慣れてきて、いろいろなところに顔を出せるようになってきた」ことも大きいという。そうやってボールに関与すればその分だけ、守備の局面も増える。川崎Fではボールを失った瞬間に守備が始まり、奪い返してまた攻める迫力で相手を圧倒していく。コンマ数秒に猛烈にパワーを掛けるから、小塚もそこに追いつかなければならない。

「切り替えて奪われた瞬間は相手も慌てていると思いますし、自分がポジション的にも守備のスイッチを入れることになるので、そこで奪い切る部分は出していければと思っています」

 そうやって落ち着きを獲得すれば、あとは「小塚ワールド」だ。変幻自在のパスはこの人の最大の魅力。その意外性に誰もがため息をつく。

「自分にしか出せないパスやアイディアあふれるプレーは大事にしています。もちろん、勝負にもこだわるけれど、見ていて楽しいプレーを意識していきたい」

 第3節のガンバ大阪戦で披露したアシストのシーンは、だから小塚本人にこそ強い印象を残す。右サイドから軽やかなダブルタッチで相手をかわして中に切り込んでから、左足で優しい弧を描いて左の宮城天に届けたラストパス。小塚らしいテクニックにあふれていて、しかも宮城きっちりが蹴り込んで、求め続けている結果も手にした。

「ガンバ戦でアシストできたのは大きな自信になりました。中盤の選手が多いので、試合に出たときに結果を残し続けなければチャンスは巡ってこないと思っています。いかに攻撃で違いを出して、ゴールやアシストを残していけるかです」

 鬼木達監督も「できないものを求めているわけではない」と、期待が大きいからこそ高い基準で要求を続けている。

 4月はマレーシアに渡って戦うAFCチャンピオンズリーグ(ACL)も含め、9試合の過酷な連戦だ。レベルアップした守備と磨きをかけたセンスあふれるパスで、さらなる歓喜を呼び起こすはずだ。