3月26日に行われたJリーグYBCルヴァンカップ第3節で、FC東京が今大会初勝利を収めた。39分に相手がクリアしきれなかったところを拾った安部柊斗が決めて先制すると、60分には三田啓貴のシュートが相手DFに当たってゴールへ。湘南は77分に池田昌生が豪快に決めたものの、そこまで。FC東京が2-1で逃げ切った。

上写真=安部柊斗(右端)が先制点を決めて仲間と喜ぶ。今季初ゴールでチームを勢いに乗せた(写真◎J.LEAGUE)

■2022年3月26日 JリーグYBCルヴァンカップ第3節(味スタ/6,829人)
FC東京 2-1 湘南
得点者:(F)安部柊斗、三田啓貴
    (湘)​​池田昌生

「あと一歩やっていかないといけない」と山口監督

 縦への意識が勝利を生んだ。前半はFC東京が終始、ボールを動かしながら慌てず騒がず試合を進める。センターバックの木本恭生、森重真人、アンカーの平川怜からどんどんライン間の選手に縦パスが差し込まれる。あるいは、サイドバックから裏に抜け出したインサイドハーフやウイングに素早く送り込まれる。

 それが実ったのが39分だ。森重から安部への縦パスが相手のミスを誘って裏にこぼれると、そのまま安部が抜け出してGK富居大樹との1対1に落ち着いて右に流し込んだ。続くゴールを奪ったのもFC東京で、60分に右サイドで安部が残したボールを受けて三田啓貴がカットイン、左足で放ったシュートがDFに当たってコースが変わり、ゴールに転がり込んだ。

 ところが、この直後に町野修斗とタリクを送り込んだ湘南が、じわりと押し込んでいく。FC東京のパス回しに目が慣れてきたか、プレッシャーをかける場所が高くなり、スピードも増し、奪ったら左右に幅広く動かしてチャンスを狙っていった。

 追撃のゴールも左サイドから。77分、高橋諒が突破してマイナスに折り返すと、中央で池田昌生が豪快に蹴り込んだ。

 こうなると、展開はよりオープンに。同点ゴールを目指して前に前にと突き進んでいく湘南、交代で入ったディエゴ・オリヴェイラとアダイウトンでカウンターを繰り出すFC東京と、ハイテンポな攻撃の仕掛け合いになった。それでも結局、FC東京が逃げ切って、2-1でこの大会の今季初勝利を手にした。

 湘南の山口智監督にとっては、「1失点目がミス絡みで自信をなくしたと思います」というのが大きなポイントになった。「最初から最後まで選手は前向きさを見せてくれて、残念ですがあと一歩やっていかないといけない試合になりました」。それでも、後半に高い強度をぶつけて1点を取ったのは収穫で、「勝つことに対しては簡単ではないが、選手がやろうとしてくれるところはあったし、声をかけ合いながらやってくれた」と振り返った。ルヴァンカップでは初黒星となったものの、グループ首位を堅持している。

 FC東京は逆に、勝ったことを喜びながらも、アルベル監督は「安定感のない試合でした」と内容はシビアに見ている。「トレーニングでは継続的にできていますが、公式戦で応用することは簡単ではありません。期待するプレーができる時間はありましたが、継続できているかというとそうではなく、コンスタントによくない時間もありました」と反省が先に立った。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE