3月20日の明治安田生命J1リーグ、名古屋グランパス対柏レイソルの一戦は持ち味をぶつけ合う好ゲームになった。そのきっかけと言えるのが、細谷真大の鮮やかな先制ゴールだった。日本代表のセンターバック、中谷進之介をスピードで振り切って左足で突き刺した。

上写真=細谷真大(左)は中谷進之介と激しいバトルで試合を盛り上げた(写真◎J.LEAGUE)

■2022年3月20日 J1リーグ第5節(豊田S/11,859人)
名古屋 1-1 柏
得点者:(名)マテウス・カストロ
    (柏)細谷真大

「思い切り仕掛けて振り抜こうと」

 目の覚めるような、という言葉がぴったりの先制ゴールだった。名古屋グランパスとのアウェーゲームで、柏レイソルの若きストライカー、細谷真大が開始6分で決めた先制ゴールは華麗だった。

 中盤のルーズボールを戸嶋祥郎が前線に送り、小屋松知哉がさらに前に送ると、細谷がいた。マークに付いてきたのは、日本代表のセンターバックで柏のアカデミーの先輩でもある中谷進之介だったが、おかまいなし。「相手から遠いところにボールを置いたことがうまくつながりました」と中谷に触られない場所にボールを運び、そのまま左にドリブルで突き進むと、左足をコンパクトに振ってボールにしっかりと力を伝えるフィニッシュ。

「最初の自分のチャンスだったので、思い切り仕掛けて振り抜こうと思っていました。いいコースにいったのではないかと思っていました」

 名手ランゲラックが横っ飛びしても触れないパワーとスピードが乗ったボールが、ゴール左に突き刺さった。

 この試合では今季加入したFWドウグラスがベンチからも外れ、コンビを組んできた細谷が前線の柱になった。

「名古屋のセンターバックは2人とも高さがあったのでやりづらさがありましたけど、いつもドグ(ドウグラス)がやっていることを僕がやらないといけないと思っていて、貢献できたと思います」

 ネルシーニョ監督はハーフタイムに「コヤ(小屋松)を2列目の左でシャドーにしたので守備が安定し、ボールを引っ掛けてから真大を起点にカウンターを仕掛けました」と微調整を加えた。だからなおさら細谷が最前線でボールを収めるシーンが増えた。物怖じせずに堂々と相手のプレッシャーを受けて立ち、あるいはスピードで振り切ってチャンスを作り続けた。「後半は安定したボールの動かし方ができました」とネルシーニョ監督が振り返ったチームの中心だった。

 それぞれが攻守で持ち味をぶつけ合う好ゲームになったが、「細谷対中谷」もその一つ。先制ゴールのシーンでは細谷が振り切って決めたから、細谷の勝ち。しかし29分には、細谷が中谷と入れ替わるように抜け出しながら、すぐに追いつかれて後ろからぎりぎりのところでスライディングを受けて先にボールに触られる素晴らしいディフェンスの技術を見せつけられ、中谷の勝ち。

「なかなか簡単に2点目をやらせてくれなかったですね。(29分のシーンは)もう一個、中に入れたらチャンスになったのではないかと思います。この課題を次に生かしたい」

 それでも、今回のゴールで気持ちよく遠征に臨めているはずだ。U-21日本代表の一員としてUAEに向かい、ドバイカップU-23に出場する。与えられた背番号は11。期待の表れだ。3月7日から9日のキャンプにはメンバーに選ばれながら負傷で辞退することになったし、今回のチームメートの中には同じFWで鈴木唯人、荒木遼太郎とすでにフル代表の活動に参加したメンバーもいるだけに、負けられない。

「この前は悔しい辞退になったので、今回はいい爪痕を残せるように、自分の良さを出せればと思います」

 この名古屋戦で見せた充実のパフォーマンスがあれば、ドバイでも何かをやってくれそうだ。