J1第5節で浦和レッズは今季最多の4点を挙げて、ジュビロ磐田に4-1で快勝した。ゴールラッシュの口火を切ったのは、リーグ開幕の京都サンガF.C.戦以来の先発出場となったDF犬飼智也だった。

上写真=先制ゴールを記録し、守備でも貢献した犬飼智也(写真◎Getty Images)

攻守両面で存在感をアピール

 移籍後初ゴールは狙いどおりの一発だった。開始8分、岩尾憲の鋭いCKをニアサイドでピタリと合わせ、頭できれいに流し込んだ。

「スカウティングどおりでした」

 リカルド・ロドリゲス監督は徹底して相手のセットプレーを研究しており、攻略と対策は緻密そのものだという。最後の仕事をこなした本人は、チームのミッションを実行したことを何度も強調していた。ただ、プランどおりに進んだのは、空中戦に強い犬飼の能力があってこそ。昨季、鹿島アントラーズではセンターバックながら5ゴールを挙げており、得点力も魅力のひとつだ。

 磐田戦では巧みなつなぎのパスも光った。落ち着いてボールを運んで、プレスをいなし、味方の足元へ正確にパスをつけた。本人も確かな手応えを感じている。

「ビルドアップの起点となり、相手がプレッシャーに来ても、慌てて無理に蹴るようなことはなかったです。後ろの組み立てからチャンスもつくれていたと思います」

 本業の守備では、1対1で強さを発揮した。後半から投入された磐田のファビアン・ゴンザレスもシャットアウト。187センチのパワフルなコロンビア人にくさびのパスが入っても、ほとんど仕事をさせなかった。際立ったのは出足の速さ。すっと前に出てインターセプトし、スムーズに攻撃につなげていた。アレクサンダー・ショルツとのコンビネーションも申し分ない。抜かりのないチャレンジ・アンド・カバーで、最終ラインに落ち着きをもたらしていた。

 攻守両面でインパクトは十分。快勝に貢献したセンターバックの評価が、上がらないわけがないだろう。最終ラインの真ん中は、シーズン序盤から岩波拓也とショルツが中心となっていたものの、ポジションの序列の変化につながっていくかもしれない。ひとつ、間違いないのは、選手層が厚くなってきたことだろう。

取材◎杉園昌之