3月18日に行われた明治安田生命J1リーグ第5節の「金J」で、横浜F・マリノスがサガン鳥栖を迎えた。高強度のプレーと戦術的な仕掛けが楽しみな対戦だったが、一向に止まない強い雨と風の影響でサッカーにならず、ともにノーゴールに終わった。

上写真=試合開始ほどなくして水たまりでボールが止まる悪条件。ともに苦しみながらの90分だった(写真◎J.LEAGUE)

■2022年3月18日 J1リーグ第5節(ニッパツ/6,689人)
横浜FM 0-0 鳥栖
得点者:(横)なし
    (鳥)なし

「ファン・サポーターは本当にすごかった」と野々村チェアマン

「延期にしてもおかしくない天候だった」

 横浜F・マリノスのケヴィン・マスカット監督の言葉を待つこともなく、残念ながら、この日の主役は強い雨と風だった。特にキックオフ前から強くなった雨で、あっという間にピッチのあちこちが水たまりになった。

 まだボールが走った序盤は鳥栖がテンポよく動かして、高い位置に張った両ウイングバックを使いながら攻める意志を見せた。しかし、水たまりでボールが止まると、フィジカルコンタクトも激しくなり落ち着かない展開に。

 それでも横浜FMがFKから連続してゴールを襲えば、23分に喜田拓也のリラックスしたミドルシュートがゴールに入ったかと思った瞬間に、鳥栖GK朴一圭が左手一本でかき出すビッグセーブも。鳥栖も35分に堀米勇輝が左足で狙ったFKがバーを直撃するなど、沸かせるシーンはあった。

 後半も雨と風の勢いは鎮まらず、どちらのチームもまずは、ボールをできるだけ相手ゴールに近づけることが目的になった。マスカット監督も試合中に「下げるな! 前を見ろ!」とベンチから指示を送った。とにかく前へと蹴り出すボールが増えていくが、最前線にその受け手として、鳥栖は後半開始から垣田裕暉を、横浜FMは78分にレオ・セアラを据えて、ともにゴールに近づくシーンもあった。特にレオ・セアラは82分、88分と2度のビッグチャンスを迎え、フィニッシュまでたどり着いたが、ともに枠を外してしまった。

 鳥栖の川井健太監督は「できることが限られた試合でしたが、その中で勝ち点が0で終わるのと1で終わるのは違います。手応えは、選手がグラウンドコンディションの変化に伴ってこちらの指示待ちにならなかったこと。自分たちで判断してアジャストさせたのは良かったと思います」と、最悪の状況でも収穫を得た。横浜FMとしては、マスカット監督が「なかなか振り返るような内容ではなかった」の一言に尽きるかもしれない。

 就任後に初めての視察となった野々村芳和チェアマンは、雨でも最後までともに戦ったファン・サポーターを称えた。

「今日すごいと思ったのは、ファン・サポーターでした。ゲームはお互いに本来ならアグレッシブに走るチームで戦術的に見るところがあったはずですが、雨でサッカーにならなかったですね。繰り返しになりますが、ファン・サポーターは本当にすごかったなと思います」

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE