上写真=鬼木達監督は広島を「いままでと違うサッカーをしてくる」と分析(写真◎スクリーンショット)
広島の強度の高さに警戒
川崎フロンターレは3月19日、サンフレッチェ広島とのアウェーゲームに臨む。昨季の広島戦は2試合ともドローで、勝てていない。鬼木達監督は加えて、「いままでとは違うサッカーをしている」と警戒する。
「意図のある形で攻撃していますが、ただ順番としてはまず守備なのかなと感じています。高い強度や前からのプレスでリズムをつかもうとしているチームだと思っています。そのことをしっかりと頭に入れながらやらなければいけない」
この試合が終わると、リーグ戦は小休止。谷口彰悟と山根視来も日本代表として参加する、カタール・ワールドカップ最終予選があるためで、鬼木監督としてはこの期間を有効に使うつもりだ。なにしろ、4月に入れば超連戦。J1を3試合戦ったあと、マレーシアのジョホールバルに飛んでACLのグループステージで中2日の6連戦が待ち受ける。悲願の優勝を果たすために、さっそく総力が問われるのだ。
「すでに先週、選手たちには話しています。もう1カ月後にはACLがあるんだと」
昨季もここで出番を得た若手が長足の進歩を見せて、チームの力になった。
「いままでたくさん試合に出ている選手も、そうではない選手もいますけど、1試合に入るか入らないかで一喜一憂するのではなくて、常に準備しておかないといざというときに力を発揮できない、と伝えています」
常に、とはもちろん、日々のトレーニングのことだが、麻生グラウンドで鬼木監督が選手に向ける観察眼の鋭さは有名。
「Jリーグの試合でもそうですが、それ以外のところ、例えば紅白戦でも(レギュラー組と)逆のチームも見ているので、そこでやるのかやらないのかは大事ですよね。いまはみんなしっかりとやってくれているので、毎日ACLも見据えてやっています」
キャプテンの谷口も「このチームは常に基準をアジアに置かなければ」と話して、自ら実践している。それが、出番の限られた選手たちにも浸透している実感が、鬼木監督にもある。
「チームとしてはもう一段、いや二段、上げていきたい中で、若い選手が徐々に積極的になってきているのはポジティブなところです。試合に出ている選手も質の部分でもっともっとレベルを高くしていく必要があります」
若い選手、といえば、3月17日にはU-21日本代表が発表された。パリ・オリンピックを目指すこの世代、川崎Fからは今回は1人も入らなかった。現在の登録では宮城天、田邉秀斗、永長鷹虎、五十嵐太陽、高井幸大が該当するが、この世代の底上げも、「人を育てる」ことにも注力する鬼木監督の腕の見せどころになるだろう。
「選んでほしい思いはありますが、やらなければいけないこと、足りないことがあるから入れないわけです。ストロングがまだまだ見られていないところもあるし、全体の編成があるので一概に言えないけれど、その年代で飛び抜けていけば引っかかってくると思うので、そういう存在になれる環境を自分たちが作り出して成長させたいと思います」
でも、と続ける。
「そういう年代で可能性のある選手は毎日最後まで残って練習していますし、一歩ずつ成長しているので、焦らずやってくれればと思います」
監督自身が焦っていない。
「やっぱり基本的なことを逃して飛び越えていくと、最後に立ち返る場所がなくなるんです。そういうことをしっかり植えつけながらやっていきたいと思います」
急がば回れ、ということだ。