新型コロナウイルスの影響により延期となっていたJリーグYBCルヴァンカップ・グループステージ第1節、FC東京対ジュビロ磐田が15日、味の素スタジアムで開催された。FC東京は退場者を出しながらも結果はドロー。勝ち点1を分け合った。

上写真=FC東京の山下敬大と磐田の鹿沼直生が争う!(写真◎J.LEAGUE)

■2022年3月15日 JリーグYBCルヴァンカップ第1節(味の素S/観衆7,817人)
FC東京 0-0 磐田

・FC東京メンバー:GK波多野豪、DF鈴木準弥(90+4分:梶浦勇輝)、岡崎慎、エンリケ・トレヴィザン、中村帆高、MF三田啓貴(67分:渡邊凌磨)、青木拓矢(67分:平川怜)、東慶悟、FW内田宅哉(67分:他高萩洋次郎)、山下敬大、荒井悠汰(62分:東廉太)

・磐田メンバー:GKアレクセイ・コシェレフ、DF山本義道、鹿沼直生、袴田裕太郎、小川大貴、MF吉長真優、清田奈央弥(83分:鈴木雄斗)、上原力也(83分:松本昌也)、FW黒川淳史(69分:ジャーメイン良)、金子翔太(69分:古川陽介)、ファビアン・ゴンザレス(80分:杉本健勇)

退場者を出したFC東京、仕留められなかった磐田

 前半は、こう着状態になった。ただしその『ニュアンス』が異なる。FC東京の4-3-3の陣形に対してアウェーの磐田は3-4-2-1を採用。システム上、フリーになりやすい2シャドーの黒川と金子が頻繁にボールを触って攻めの形をつくり、ゴールに迫った。ボールを握り、ボールホルダーを追い越す動きも見せたが、ゴールは遠かった。

 一方でFC東京はポジションを取るものの、動きが少なく、ボールがうまく循環しない状態が続く。パスがたびたび詰まって、ミスも散見。17歳の荒井が左サイドで何度か見せた仕掛けは目を引いたものの、チームの狙いとする優位性を生み出すプレーを実践できず、決定的な場面を作れない状態が続いた。

 攻めながらも決められない磐田と攻めの形を作れないFC東京。前半は磐田の時間になった。FC東京のアルベル監督は「多くの選手が公式戦から離れていたこと、一緒に公式戦を戦ったことがないメンバーだったことも影響した」と説明。「プレスをかける際に連動性を出せなかった」ことも機能不全を招いた原因と振り返った。

 顔ぶれはそのままで迎えた後半、FC東京は前半には見られなかった縦パスやフリックを使ってチャンスの創出をはかる。テンポを変えることで立ち上がりは立て続けにアタッキングサードに進入してみせた。しかしネットを揺らせない状態は続く。すると60分、FC東京のプレスがはまらず、決定的なピンチを招いてしまう。中盤で相手に食いつくもかわされ、ボールを一気に運ばれて、スルーパスをF・ゴンザレスに通された。H・トレヴィザンが背後からタックルで倒す形となり、一発退場。FC東京は残り30分あまりを一人少ない状況で戦うことになってしまった。

 FC東京はすぐに荒井を下げ、東廉太を緊急投入。4-4-1で守備のバランスを整えた。対する磐田も黒川、金子に代えてジャーメイン良、古川をピッチに送り、攻撃の活性化を図る。直後にジャーメインがチャンスを迎えるも決め切れず、残り10分を切ったところでF・ゴンザレスに代えて杉本、さらに清田に代えて鈴木、上原に代えて松本をピッチに送り、総力戦で1点を取りにいった。

 残り5分を切ると、FC東京が立て続けに4度、CKのチャンスを得る。数的不利が問題ならないセットプレーという好機はしかし、ゴールにつながることはなかった。磐田もアディショナルタイムに左CKのチャンスを得ながら、FC東京の分厚い守備に阻まれてネットは揺らせない。90+3分の磐田の鈴木雄のミドルはFC東京のGK波多野が左手一本で防ぎ、90+7分のジャーメインのヘッドはわずかに枠を逸れた。最後の最後までゴールを目指したが、スコアが動くことはなく、試合は0ー0で決着した。

「一人少ないなかでもしっかりとボールを大切にして、われわれが目指すプレースタイルを表現してくれたのはとてもうれしいニュースです」「後半、エンリケが退場になりましたが、一人少ない状態でもしっかりといつも通りのプレーをできたのは評価に値します。セレッソ戦でも一人少ない中でしたが、その際に守りに入ってしまった」

 アルベル監督は劣勢のなかでもチームの『成長』を感じたと振り返り、「とくにルヴァンカップでは若手選手にも多くの機会を与えて、彼らの成長とチームの成長を期待しているので、その片鱗が見えたかと思います」と若い選手たちの今後につながると期待感を口にした。

 一方、磐田の伊藤彰監督は「自分たちの良い攻撃が出たなかで最後の最後で決め切るところは、もっともっとクオリティーを上げていかないといけない。(相手が)一人退場になってここで仕留めるということでしたが、それができなかった」と、攻撃面の収穫についてコメント。「若い選手たちが躍動していいプレーを見せてくれました。この先にもっともっと期待感を持てたゲームになったかなと思います」と、チームの今後に向けて明るい材料を得たとも語った。

 手にしたのは勝ち点1だが、今後に目を向ければ、収穫のある試合になったと両指揮官は口をそろえた。すなわち、この試合の意味は、この日出場機会を得た若い選手たちの今後のプレーぶりによって、はっきりするということになる。ルヴァンカップの次節は代表ウィークの3月26日。FC東京はホームで湘南と、磐田も同じくホームで福岡と対戦する。