川崎フロンターレは3月12日の明治安田生命J1リーグ第4節、名古屋グランパス戦に1-0で勝利を収め、ホーム25戦負けなしという最多記録に並んだ。2020年11月18日から続く今回の記録について、キャプテンの谷口彰悟は「サポーターとみんなで作り上げている空間」と胸を張る。

上写真=谷口彰悟はキャプテンとして25試合負けなしを誇った(写真◎J.LEAGUE)

■2022年3月12日 J1リーグ第4節(等々力/18,114人)
川崎F 1-0 名古屋
得点者:(川)マルシーニョ
    (名)なし

「それができなくても勝ち切る」

 川崎フロンターレが難敵・名古屋グランパスを迎えたJ1第4節を1-0で逃げ切って、今季4勝目。これでリーグ戦におけるホームゲーム無敗を25試合に伸ばし、浦和レッズ、ガンバ大阪が記録したJリーグ最多に並んだ。等々力陸上競技場は聖地である、という真理を、数字でも証明してみせた。

 2020年11月3日に北海道コンサドーレ札幌に0-2で敗れて以来、ずっと負けがなく、引き分けも浦和と同じわずかに3と圧倒的な戦績を残している。その中心にいるのが、キャプテンの谷口彰悟。

「等々力に来てくれるサポーターにパワーをいただけるのが、僕たちが頑張れる要因なので、みんなで作り上げている空間だと思っています」

 観客が2万人上限の制限付きとなったこの日は、名古屋のサポーターも含め、1万8114人が集まった。両チームのサポーターが醸し出す空気が好ゲームを生み、1-0の勝利につながった。

 25分にマルシーニョが今季初ゴールを決めてからは、面白いようにボールが回った。しかし、追加点のないまま後半に入ると、名古屋のパワーを受ける時間が長くなっていった。

「要所で体を張ったり、戻るスピードや戻る場所も良かったと思います。アラートさはいままでやってきたことですけど、改めてここでできたのは自信になります。理想を言うと2点目、3点目を取って危なげなく勝てれば問題ないですけど、それができなくても1-0で勝ち切ることができて自信につながります」

 谷口がセンターバックとして構える中央のエリアは、危険なシーンはありながらも完全には崩されなかったし、何より高い位置での守備が効いていたことが大きな前進ではないだろうか。特に橘田健人のプレーぶりは圧巻で、誰よりも早くボールの出どころを察知して動き出し、チャナティップも攻守ともにフィットして自分の強みを出す回数が増えてきた。脇坂泰斗もボールに寄せていくのはもちろん、そこから鋭く予測してことごとくボールを引っ掛けていって、名古屋の選手に自由を与えなかった。この中盤のトライアングルは特に獅子奮迅だった。

「チームとしての守備は、前線からプレスをはめにいくときのコンパクトさや迫力、スライドのスピードが揃わないと意味がないので、しっかりトライできてよかった」

 谷口もキャプテンとして、守備のリーダーとして、ピッチ全体の守備意識の高さを頼もしく感じていた。

「乗り込んでくるチームが、ここでは絶対に無理だと思わせるスタジアムにしたい」

 等々力=聖地。4月2日のJ1第6節、セレッソ大阪戦で負けなければ、新記録達成だ。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE