マルシーニョが今季初ゴールで川崎フロンターレを勝利に導いた。3月12日の明治安田生命J1リーグ第4節で名古屋グランパスを迎えた一戦で、25分にチーム3試合ぶりとなる先制点を生み出した。徐々に歯車が噛み合い出した川崎Fのアタックで、快足ドリブラーが遅ればせながら存在感を示した。

上写真=マルシーニョのフィニッシュは冷静そのもの。今季初ゴールが生まれた(写真◎J.LEAGUE)

■2022年3月12日 J1リーグ第4節(等々力/18,114人)
川崎F 1-0 名古屋
得点者:(川)マルシーニョ
    (名)なし

「いつボールが転がってきてもいいように」

 愛くるしい笑顔がついに弾けた! マルシーニョが出場2試合目で今季初ゴール、川崎フロンターレを勝利に導いた。

「ホームで取れたのがうれしい」と振り返る25分のゴールは、冷静そのものだった。中盤の左で脇坂泰斗、橘田健人とともにボールに寄せて相手のロストを誘うと、こぼれ球が脇坂に入った瞬間にトップスピードに乗った。その間に、ボールはチャナティップを経由して縦へ。レアンドロ・ダミアンが収められなかったが、相手のミスもありマルシーニョの走った先に出てきた。

「いつボールが転がってきてもいいように準備しています」

 その一生懸命さが実った。

「キーパーから見て左の方に倒れるように見えたので、右に蹴り込みました。冷静に決められてよかった」

 GKランゲラックの動きをじっくり見切って、向かって左に右足で送り込むと、はしゃぐように満面の笑みを浮かべた。

 チャナティップからパスが出てきたのも、シュートを確実に送り込むことができたのも、すべては「練習の通り」と胸を張る。

「こういうプレーは日々の練習から出てきています。自分のスピードを生かすようにチームメートがプレーしてくれていて、練習でやったことがそのまま出ました。現状に満足せずにコンビネーションでプレーできるように積み上げたい」

 今季加わったばかりのチャナティップはシーズン当初はプレーに迷いも見られたが、ようやく自分の良さを出せるようになってきて、決定的なプレーを繰り出す数が増えてきた。マルシーニョは開幕戦以来の出場だが、ほかにも左サイドで2人でコンビネーションプレーを披露して、感覚が合うところを見せている。

 前節は宮城天がゴールを決めていて、「日替わり左ウイング」が結果を残している。昨季の活躍から「本命」と目されたマルシーニョも、いよいよ波に乗りそうだ。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE