浦和レッズが4試合で未勝利だ。3月2日の明治安田生命J1リーグ第10節、川崎フロンターレ戦では33分に先制しながら後半に2分間で逆転された。だが、関根貴大が副キャプテンとして、生え抜き選手として感じているのは「内容がいいこと」の価値。そこに光を見ている。

上写真=関根貴大は逆転負けに、精神面で「落ちてしまったのがもったいない」(写真◎J.LEAGUE)

■2022年3月2日 J1リーグ第10節(等々力/14,696人)
川崎F 2-1 浦和
得点者:(川)家長昭博、山根視来
    (浦)岩波拓也

「いいところは続けていくしかない」

 また勝てなかった。浦和レッズはリーグ戦4試合で1分け3敗。川崎フロンターレとの一戦でも序盤から攻め抜く姿勢を全員で見せてチャンスを作り、33分に馬渡和彰のFKから岩波拓也がヘッドで決めて、幸先よく先制したのだ。しかし、62分と64分に立て続けにゴールを食らい、逆転負け。

 関根貴大は副キャプテンとして、悪夢の2分を振り返る。

「失点後に一つ(精神的に)落ちてしまったのでもったいないと感じました」

 確かに62分に同点とされた直後も、2分後に逆転されたときにも、選手たちは淡々と、あるいは呆然としていた。

「セットプレーで失点して、立て続けに失点してしまいましたが、1失点して盛り返すぐらいのチーム力が必要だと思っています」

 新加入選手が多かったり、新型コロナウイルス感染症の影響を強く受けていた事実もある。それでも、乗り越えなければいけないと、関根は目をそむけることはできない。

「試合の入りから、前からしっかりいくことも大事ですし、それだけでは難しい場面もあるので、耐える時間は必要で、そこをどう乗り切るかが大事です」

 前半はスプリント能力に優れた明本考浩をスイッチにして、周囲が連動して川崎Fのパスワークを分断していった。後半もキックオフから同様だったが、10分を過ぎた当たりからか、少しずつ疲労の色が濃くなっていった。川崎Fに翻弄され始めたそこからの時間でどう戦い抜くかが、いまの課題だ。

 しかし「ただの未勝利」ではないところに光がある。

「いままでも勝てない時期はありましたけど、いま違うのは、内容がいいことです。信じてやってきたことを貫き通せばいいと思っています」

 決定的でポジティブな違いが、関根を奮い立たせる。自身でもしっかりチャンスを導いている。26分に川崎Fの左サイドバック、登里享平が負傷でピッチを去り、代わって入ってきたのはこのポジションの経験がなかった塚川孝輝だった。

「明らかに不慣れでプレースピードも遅かったので、狙っていこうとしていました。後半は相手も立ち位置を工夫して、うまくいかなくないところもありましたけど、勝っていたし焦れずにやっていこうと思っていました」

 40分には塚川が高い位置を取った裏を酒井宏樹が狙ったのを見逃さずに、自陣からのロングパスで走らせている。52分には江坂任からのスルーパスを受けて塚川の背中を取って右を割ると、GKとDFの間に滑り込ませるセンタリング、明本がスライディングシュート、GKチョン・ソンリョンが右手一本でセーブ、というビッグプレーが生まれている。

「個人の判断で出していて、宏樹くんは(相手と)五分なら出そうと思っているので、そこはいままでの経験もありながら、いい崩しができていたと思います」

 だから、悲観と楽観のいいバランスを保つことはできている。

「いいところは続けていくしかないですし、90分通してやれば勝率は上がっていくので、そこを目指すのが一番です。うまくいかないときに、一人ひとりが声を出して盛り上げることも大事になってきます」

 攻め続け、声を出し続ける。関根に、浦和の選手たちにはいまできることが見えている。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE