鹿島アントラーズは26日、川崎フロンターレとホームで対戦し、0-2で敗れた。前半に喫した2失点を取り返すべく後半からチームの配球役として登場したのが、新戦力の中村亮太朗だ。中村が感じたJ1デビュー戦の手応えと反省とはーー。

上写真=川崎F戦の後半開始から登場した中村亮太朗(写真◎小山真司)

押し込めたことは前向きにとらえていい

 川崎F戦、中村に出番が訪れたのは後半開始からだった。前半のうちに2点のリードを許し、追いかける展開の中でピッチに立った。

「初めてのJ1の舞台でのプレーで、初めからいい緊張感をもってプレーできたというのはあります。前半、ああいう形で折り返して、そういう中での試合だったので、僕としては必ず逆転するという気持ちを持ちながら、失うものはなかったので勝つことだけを考えてピッチに立ちました」

 今季、甲府から加入した中村は、この日がJ1デビュー戦だった。与えられたタスクは、まずはゲームをつくること。前半は相手にボールを握られ、苦しい展開となっていたが、後半から鹿島は陣形を中盤がフラットな4-4-2からダイアモンド型の4-4-2に変更。中村はアンカーのポジションに入ってボールを引き出した。

「前半はCBのパスコースがあまりなかった」ことを踏まえ、自身がしっかり顔を出して受け手となり、さばき手になった。中2日でこの試合に臨んでいた相手が疲労を考慮してやや構え、カウンター狙いのマインドに傾いた面もあるだろうが、中村がアンカーの位置で配球役になった意味はやはり大きく、CBからのパス出しの局面で詰まるケースは無くなった。それに伴い、ピトゥカ、樋口雄太がその一列前で受け手になり、攻撃への移行も改善。結果、ボールの循環がずいぶんとスムーズになった。

「負けている状態で後半を迎えて、ああいうふうに押し込める時間が長くなるのは分かっていました。その中で点が取れなかったというのが、今のチームの現状だと思います。そこで逆転できる強さというのを意識して練習からやっていかないといけないなと思いました」

 後半はボールを握り、相手ゴールに何度も迫った。しかしフィニッシュの局面でタフに守る川崎Fをなかなか崩し切れず、「押し込まれている時間帯でもフロンターレの選手は落ち着いてプレーしているなという印象がありました。慌てないところだったりは、ここ最近ずっとJ1を取っているチームだなと」王者の強さを実感することになった。ただし、「後半に押し込む展開ができたことは、前向きにとらえていいと思います。個人としてもデビュー戦がフロンターレ相手で、自信にはなったと思います」と、中村は手応えも口にした。実際、どこに立ち、どこにボールを送るべきかの判断において、他のボランチとはまた異なる特長を示したと言える。

「まだまだ僕の良いところを出していかないといけないし、これからはもっともっとやっていこうと思います」

 敗戦に悔しさをにじませる一方で、中村は今後にもしっかり目を向けていた。この日のプレーで常時出場が約束されたわけではないだろう。それでもポジティブな印象を残したことは間違いない。J1王者相手に得た自信を携え、中村はこれからもピッチで、その持ち味を発揮していく。