上写真=キャンプで意思統一をはかり、チーム力を高めた清水。開幕戦で札幌を迎え撃つ(写真◎S-PULSE)
若い選手のブレイクに期待
昨季14位の清水エスパルスは、若さあふれる陣容で上位進出を狙う。今季の目標は得失点差+10以上、タイトル、ACL出場権。2021年シーズンの終盤にミゲル・アンヘル・ロティーナ監督から急きょバトンを受けた平岡宏章監督が2年目を迎え(通算では3季目)、攻撃的なサッカーへのマイナーチェンジに取り組んでいる。守備は改善も見えていただけに喫緊の課題は攻撃面と言えた。
カギを握るのは、ピンポイントで補強した実績のあるアタッカーだ。4年ぶりにサガン鳥栖(鹿島アントラーズ)から古巣に復帰した白崎凌兵は中盤でゲームを組み立てながらゴールも狙う。柏レイソルから加入した神谷優太もバイタルエリアで持ち味を発揮するタイプ。核となるブラジル人のチアゴ・サンタナ、カルリーニョスらとの連係が深まってくれば、課題だった得点力も向上するはずだ。
さらに攻撃の幅を広げるために昨季、J1で5ゴールを挙げた右サイドバックの岸本武流も徳島ヴォルティスから獲得するなど、一貫して攻めの駒を強化している。
J1で躍進するためには、潜在能力の高い若手たちの成長も欠かせない。注目は20歳コンビだろう。鈴木唯人、松岡大起は今年1月に国内組による日本代表合宿に選出されるなど、いまが伸び盛り。パリ五輪世代の注目株は今季、さらなるブレイクが期待されている。レンタル先のJ2で経験を積んで戻ってきた復帰組も同じく期待の戦力だ。SC相模原で主力として活躍した19歳の成岡輝瑠、ギラヴァンツ北九州で10得点をマークした22歳の高橋大悟は、自らの成長を今度はJ1の舞台で示すことになる。
平均年齢の低いメンバー編成になっているものの、要所にはベテランをしっかり配置。このあたりのバランスが整っているのが清水の2022モデルだろう。守護神の権田修一が期限付き移籍から完全移籍に切り替わったのは、大きなプラスと言っていい。経験豊富な現役の日本代表GKが、チームにもたらす影響は計り知れないものがある。移籍組の白崎は「チーム全体に高い意識を植え付けている」とその存在価値の大きさを口にした。守備を安定させているだけではなく、上位浮上に必要な意識の向上を促している。チームは若さを前面に押し出しながらも、下支えもしっかりしているのだ。
2022年は、クラブ創設30周年の節目となるシーズン。サッカー王国の復活に向け、新世代を中心に新たな一歩を踏み出す。