Jリーグの2022シーズンが、2月12日の富士フイルムスーパーカップ2022で幕を開ける。昨季の明治安田生命J1リーグで優勝した川崎フロンターレが、第101回天皇杯ウィナーの浦和レッズと相まみえる一戦。川崎Fのキャプテン、谷口彰悟は日本代表としても先のワールドカップ予選で大活躍、そこで得た「大胆」をピッチの上で表現してみせる。

上写真=谷口彰悟は日本代表の経験を、Jリーグのピッチで披露する(写真◎スクリーンショット)

「しっかり上回っていいゲームをしたい」

 いま、日本のサッカー界で大きな注目を浴びる一人ではないだろうか。カタール・ワールドカップ最終予選で吉田麻也と冨安健洋が負傷でメンバーに選ばれず、代わって最終予選で初登場して、中国戦とサウジアラビア戦で連続完封勝利を達成した立役者。J1で3連覇、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)で悲願の初優勝を狙う川崎フロンターレのセンターバックにして、キャプテン。谷口彰悟はいま、大きな影響力を持つ男だ。

 シーズンのスタートがいきなり、生きるか死ぬかの最終予選であるという難しさはあった。しかし、年末からしっかり準備して、大きな仕事を実行してみせた。

「ラインコントロールの部分でもっと細かく上げ下げしたり、ラインの高さももっと高くして全体をコンパクトにできた思いがあるんです。それができれば、周りの選手たちの守備範囲を狭めて助けることができたと思うので」

 余裕にも見えた裏には、細かな課題があった。

「あとはボールの出し入れでも、もっと厳しいところ、嫌なところに差し込むことができたシーンもあって、細かいですけど、安全に安全にという思考はいつものゲームよりもあったと思います。もちろん、それは仕方ない部分もありますけれど、そういう舞台でも技術的にもメンタル的にも積極的に大胆にいけるところが足りなかったと思っています」

 日本代表では「大胆」の重要性が骨身にしみた。そこに「スピード」を加えていく。川崎Fで鬼木達監督が掲げた今季のテーマの一つだ。

「スピードが大きなテーマで、トレーニングの中でもその要素を含むメニューをこなしています。みんなの意識も高くなっているので、追求していかなければいけないと思います。これまでに足りなかったというか、もっともっと上げていける部分なので、みんなで追い求めていきます」

 では、どのレベルまで追いかけていくのかというと、「世界とアジア」ときっぱり。

「Jリーグを主戦場としていますけれど、代表では常に意識は世界だし、このクラブで言えばまずACLを取るためにアジアというところに置いてやっていかなければと思います。ワールドカップ予選もACLもあるので常に基準を高く、周りを巻き込みながらやっていければと思います」

 自分だけが高みに登っても意味はない。巻き込むのはチームメートはもちろんだが、Jリーグで戦うすべての選手たちもだ。その最初の基準を示す舞台が、富士フイルムスーパーカップ2022。J1王者として、2月12日に天皇杯ウィナーの浦和レッズと戦う。

「もちろん、しっかり勝ちたいと思っていますし、シーズン一発目の公式戦なので勝ってスタートしたい思いは強いです。浦和も力のあるチームで、今年もいろいろなところで争っていくチームだと思っているので、しっかり上回っていいゲームをしたいと思います。今年もフロンターレは強いな、という思いを周りのチームや選手に抱かせるようなゲームができれば」

 浦和には昨季、ルヴァンカップ準々決勝で第2戦の最後の最後にゴールを許して、敗退を突きつけられている。

「監督が代わられてから、きちんと保持しながらつないでいくスタイルは確立されてきていると思います。それは見ていてもやっていても感じたことです。一人ひとりが持っているもののレベルは高いと感じますから、相手の良さを出させない作業も必要になってきます。自分たちの良さ出すこともそれ以上に大事ですが、相手を消さないと簡単に勝てないですから」

 大事なのは自分たちのサッカー、だけではない。相手を見極めてストロングポイントを消し、弱点を突いていく。日本代表でも、川崎Fゆかりの守田英正、田中碧、板倉滉を中心に、相手の動きを見切って逆手に取ったボールの動かし方が功を奏した。「見る」こそが川崎Fの真骨頂。自分たちのサッカーを突き詰めていくだけが、勝利への近道ではない。

 それを、まずは富士フイルムスーパーカップ2022でたっぷり披露するつもりだ。