2月8日、FC東京は東京・明治神宮で必勝祈願に臨んだ。新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から少人数で執り行われたが、アルベル監督、森重真人、ディエゴ・オリヴェイラ、内田宅哉がそれぞれに、厳かな雰囲気の中で誓った決意を明かした。

上写真=FC東京はアルベル監督(左手前)、森重真人キャプテン(右奥)らが明治神宮で必勝祈願(写真提供◎FC東京)

「かなえるために必要なエネルギーが」

 絵馬に願いを込めたのは「健康」だという。FC東京のアルベル監督らしさが表れた必勝祈願となった。

 FC東京は2月8日に東京・明治神宮で必勝祈願を行った。アルベル監督、キャプテンの森重真人、副キャプテンのディエゴ・オリヴェイラ、選手会長の内田宅哉ほか、それぞれが絵馬に願いを書き記して奉納した。

 アルベル監督が健康を祈ったのは「多くの選手やスタッフがタイトル獲得を期待していて、みんなが書くと神様が一人しか選べないので、私は別のことをお願いしました」のが理由だという。

「何か願いごとをするときに、タイトルを勝ち取りたいと願うよりも、そのことをかなえるために必要なエネルギーがほしいとお願いするほうが、的を射ていると思うのです」

 アルベル監督は常に「目の前の試合に全力で向かうこと」を目標としていて、その結果として勝敗があるという考えの持ち主だ。だから、最も重要だと考える日々のトレーニングに必要なエネルギー=健康をお願いしたというわけだ。

 キャプテンの森重真人と選手会長の内田宅哉はともに、ケガをしないことを祈ったという。

「ケガをしてしまうと、個人としてもチームとしてもマイナスになるので、神様にまずお願いするとすれば、それかなと」と森重。「昨年は約半年間、ケガで離脱して悔しい思いをしたので、今年はしないように」と内田。アルベル監督も「キャンプで大きなケガがなかったのが良かった」と安堵しており、新たなチーム作りに順調な様子をうかがわせた。

 そして、副キャプテンとなって初めて必勝祈願に臨んだのがディエゴ・オリヴェイラ。「優勝したいと書きました」とタイトル獲得の思いを記したという。アルベル監督に副キャプテンに指名されたことで「とてもうれしいし、FC東京で長年プレーした成果が評価につながったと思う。でも、いままでやってきたことを続けていくことに尽きる」と平常心で頂点を目指す意気込みだ。

 沖縄キャンプでは多くのトレーニングマッチをこなしながら、アルベル監督のスタイルを体に染み込ませてきた。内田は「ほとんどすべてが新しいこと。守備の仕方も攻撃のときに自陣でポゼッションするやり方も、初めて経験するような形なので新鮮だし、成長につながると思う」とさっそく手応え。攻撃の軸になりそうなディエゴ・オリヴェイラは「監督からは、特にこのプレーをしてほしい、とか、このパートが必要になる、と要求されていることはありません。やってきたこと、持っているもののすべてを出して、チームとともに進化していきたいと思います」と意欲に満ちている。

 そして、2013年から17年まで務めていたキャプテンに復帰した森重は「ちゃんと玉串の奉納の仕方も覚えていました」と笑わせたが、守備の要としてだけではなく、キャプテンとしての大役を果たすシーズンになる。

「まずは全体でどういうサッカーを目指すのかをキャンプの中でやりながら、トレーニングマッチで出た課題をトレーニングでこなしてきて、それを繰り返すしかないと思っています。1年を通してやっていきたい」

「現在はフレームづくりをしているところだと思います。これからいろいろなことを要求されるので、高いレベルでやっていきたい」

 新たなチャレンジの第一歩を踏み出したが、最初に思い切りぶつける相手は、王者・川崎フロンターレだ。2月18日にアウェーで対戦する開幕戦。

「プレシーズンで準備してきたことをしっかり出すことが重要ですし、一人ひとりが100パーセントを出すことが前提になります。そこからやらないと何を話し合っても意味がないですから、しっかり戦って、あとはどうなるか見てみたい」