「川崎の太陽と呼ばれたい」。アカデミー育ちのアタッカーがプロとしての第一声を放った。2021年に2種登録されると、2022シーズンにルーキーイヤーを迎えた。U-18でナンバー10を背負ったプライドを胸に、堂々と挑んでいく。

上写真=五十嵐太陽はU-18の「10」の伝統を受け継ぐ(写真提供◎川崎フロンターレ)

脇坂泰斗、山根視来、家長昭博

 脇坂泰斗、三笘薫、田中碧、宮代大聖、宮城天、そして五十嵐太陽。共通点は「10」である。それぞれ川崎フロンターレU-18時代に背番号10を背負って活躍し、のちにトップでプレーすることになった宝たち。その系譜を五十嵐が継いでいく。

「尊敬していますが、追いつけるように頑張りたい」

 先輩たちへの憧れと強気の両方を見せるのだ。プレースタイルは、その脇坂に近いと自負する。

「周りからは脇坂さんみたいな感じだとは言われます。技術のところ、ボールを受けたときに違いを出せるところですね」

 すでに2021年8月に2種登録されてトップチームにも合流していた。レベルの高さは肌で感じていて、ここ2年の川崎Fの戦いで言えば、脇坂と同じインサイドハーフでのプレーをイメージしているという。だがもちろん、学ぶべきはそれだけではない。

「山根視来さんの守備の面で、プレッシャーの間合いの取り方や勢いがすごいなと感じています。自分もそこも身に着けていきたいと思います」

 守備の強度の高さはユースレベルとトップの大きな差だが、それを学ばなければ通用しないと実感してきた。そしてやはり、この人だ。

「あとは家長昭博さんのあのキープ力、時間の使い方、独特のプレーもですね。あれぐらい余裕のある選手になれたら、面白くなるんじゃないかと思います」

 脇坂のごとくテクニックにあふれ、山根のようにクリーンにかつ激しく奪い、家長のように泰然とプレーする。「自分にしかできない武器を持ってやっていきたい」と話す五十嵐の未来像がそこにある。

「川崎の大砲や川崎の星ではなく、川崎の太陽と呼んでもらえるように努力していきます」

 その言葉がなんとも清々しい。