1月9日、新体制発表会で動き出した横浜F・マリノス。2022年はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)への再挑戦もあって、楽しみなシーズンになる。多くの新戦力の中で、注目の一人が藤田譲瑠チマだ。2021シーズンは徳島ヴォルティスで初のJ1を経験し、ビッグクラブでステップアップを図る。

上写真=トリコロールのユニフォームに身を包んだ藤田譲瑠チマ。新しい挑戦が始まる(写真◎サッカーマガジン)

「オファーが来てうれしかった」

「ジョエル!」と呼んでほしいという。

 藤田譲瑠チマは東京ヴェルディのアカデミー育ち。2019年に17歳でデビューして、20年には早くも主力としてシーズンを通して41試合でプレー、21シーズンは徳島ヴォルティスに移ってJ1で戦った。リーグ戦は全28試合に出場、特に残留を争う終盤には6試合連続で先発出場するなど、頼れるMFとして爪痕を残した。

「攻撃の部分で言ったらチームにテンポを出せるプレー、守備ではインターセプトや対人の強さが特徴です」

 J1で十分に通用するポテンシャルを実感した1年になった。

「去年対戦して、自分の中では一番嫌な相手でした。そういうチームからオファーが来てうれしかった」

 横浜FMはそういうチームだという。徳島のホームで対戦した6月の第20節で先発したが、0-1で負けている。その印象が強く残った。だから、ビッグクラブからのオファーを受けるのに時間はかからなかった。

「ここで成長できると思ったし、このチーム自体が海外のようなチームで、自分にとって良い要素がいっぱいあるので、決めるのに時間はかかりませんでした」

 横浜FMで結果を残し、いつかヨーロッパへ。その意志があるからこそ、覚悟を決めて移籍を選んだ。

「将来、ヨーロッパの5大リーグでプレーするのに必要なアグレッシブな動きやインテンシティで、マリノスのボランチの選手がプレーしていました。このチームに入って意識しながらやれば、自分もできるのではないか。しっかり戦うことができれば、海外でもプレーできると思っています」

 とはいえ、日本のトップクラブの一つだ。ボランチの争いは簡単ではない。

「ボランチは層が厚いと思いますが、自分の良さを出せればチャンスは来ると思っています。バランス役になれれば」

 カタール・ワールドカップが開催される今年は過密日程で、しかもACLも戦うだけに、スケジュールは厳しい。チャンスを確実にものにするために、1日でも早くこのチームのスタイルを習得する必要がある。

「これまでは人見知りな部分あったんですけど、去年は徳島や代表(東京オリンピックトレーニングパートナー)で初めての人と関わる機会が多くて、自分の意見を言うこと、サッカーの中でどうしてほしいかコミュニケーションを取ることができれば、私生活でもそれが増えていくことを学べました。その経験を生かして、どんどんコミュニケーションを取っていきたい」

 伸びしろだらけの19歳。徳島では終盤に4-3-3システムのインサイドハーフでもプレーして、より攻撃に軸足を置く戦いも経験してきた。日本のトップクラブでもまれて、どこまで伸びていくのか、楽しみな逸材がやって来た。