来季からサンフレッチェ広島の指揮を執るミヒャエル・スキッベ新監督が、12月17日にオンラインで就任会見を行なった。現地ドイツで報道陣の質問に答え、目指すスタイルやチームづくりへの考えなどを語っている。

上写真=ドイツとオンラインでつないで就任会見を行なったスキッベ新監督(写真◎スクリーンショット)

冒頭に日本語であいさつ

 1965年8月4日生まれ、ドイツ出身のスキッベ氏は、シャルケでプレーしたのちに現役を引退し、同クラブやドルトムントでユース年代の監督を務めたのち、98年にドルトムントのトップチームの監督に就任。2000年にはドイツ代表コーチに就任し、02年日韓ワールドカップ(W杯)で準優勝したチームを支えた。

 その後はレバークーゼン、フランクフルト、ヘルタ・ベルリンなどドイツのクラブのほか、トルコのガラタサライ、エスキシェヒルスポル、スイスのグラスホッパーなどで監督を歴任し、2015年から18年まではギリシャ代表監督も務めた。11月25日に広島の新監督に就任することが発表され、広島にとっては初めてのドイツ人指揮官となる。
 
 ドイツの自宅でオンライン会見に臨んだスキッベ新監督は、冒頭で「コンバンハ。ワタシノ、ナマエハ、ミヒャエル・スキッベデス。ヨロシクオネガイシマス」と日本語であいさつ。「今回こういった機会に恵まれたこと、これからサンフレッチェの皆さん、ここにいるジャーナリストの皆さんと、いろいろなことをやっていけることを、すごくうれしく思っている」と就任の喜びを語った。
 
 広島からコンタクトがあったのは「10月から11月だった」と明かした指揮官は、強化部との話し合いの中で「特に若い選手たちを成長させるというクラブの考えに、すごく共感したことが就任の決め手となった」とコメント。「2年以内に、上位で安定したパフォーマンスを見せることができるようにしたい。サンフレッチェは伝統あるクラブで、この10年間は優勝も経験している。そういったところに少しでも近づけるように、もう一度力強いサンフレッチェを作ることが目標」と意気込みを語った。
 
 新型コロナウイルスの影響による外国人の入国制限の今後が見通せないため、来日時期が決まっていないという不安材料はあるものの、「できるだけ早く日本に入り、良いプレシーズンを過ごして、シーズンをスタートできたらと思っている」と語ったスキッベ新監督。ファン・サポーターに向けては「できるだけ多くの人にスタジアムに来てほしいです。大きなサポートを受けながらサッカーをしたい。サポートを受けることができれば、それに見合った魅力的なサッカーを展開していけると思います。お互いに協力しながら、素晴らしいサッカーを見せていきたい」とメッセージを送った。
 
 そのほか、会見での主なやり取りは以下の通り。

――サンフレッチェに、どんなイメージを持っているか。

「映像で90分間の試合を10試合くらい見た以外に、ゴールシーン、良かったシーン、失点シーンなどを見ている。最初の印象はすごく良くて、このチームであれば間違いなく、良いチームができるのではないかと思っている」

――現有戦力も把握できているのか。

「個人についても見ている。映像で見るのと、実際に見るのでは違うが、そこも含めて、すべての印象はポジティブ。早く一緒のフィールドに立ちたい」

――理想とするサッカーは
「これまでもやっている、アグレッシブでオフェンシブなスタイルで戦っていきたい。選手には早く適応する能力もあると考えている。走力で上回るようなサッカーを見せていきたい」

――布陣は、どのように考えているか。

「選手を見てから決めていこうと思う。今季のサンフレッチェは3バックで戦っていて、映像を見る限り満足できるし、自分も3バックで戦って、うまくいった経験がある。プレシーズンで4バックを試したり、中盤もいろいろ形を変えてみて、どういったオプションがあるのかを探っていきたい」

――選手たちにどんなことを求めていくのか。

「チームの戦術にしたがって動いてもらうことを期待している。全員で攻めて、全員で守る戦いをしていくので、切り替えが非常に重要な要素になる。特に守備のときは、お互い近い距離で助け合いながらプレーすることを考えている。相手がボールを持っているときは、できるだけ早くボールを奪う。相手に長くボールを持たせず、奪って攻撃につなげていきたい」

――得点力不足が課題だが、向上させるために、どうすることを考えているか。

「できるだけ早くボールを動かすことを徹底して練習したい。ボールを速く、少ないタッチ数で動かすトレーニングを頻繁にやるべきだと思っている。そうすることでゴールに向かうチャンスが増えると考えている」

――Jリーグのイメージは。

「最初に興味を持ったのは2002年W杯のとき。欧州や南米から有名な選手が行ってJリーグでプレーしたことを知っているし、(元浦和レッズの)オジェック、ケッペルなどドイツ人監督が行ったことも知っている。その後はブンデスリーガにも多くの日本人選手が来るようになり、私だけでなく、ドイツ人はみんなJリーグを興味を持ち始めていると思う」

――日本での経験がある監督や選手から、Jリーグのことを聞いたのか。

「過去に日本でプレーしたり、監督をした人たちとは、ほとんどコンタクトを取った。彼らは口をそろえて日本を称賛していた。国もそうだし、クラブ、それを取り巻く人たち、みんなが非常に親切してくれて、人間性も優れている、と。新しい国に行くにあたってポジティブな情報が入ってきて、私の興味も強くなっている」