天皇杯準決勝がいよいよ12月12日に行われる。前回王者の川崎フロンターレは大分トリニータとの対戦だ。センターバックに負傷者が続出する中で山村和也の存在は頼もしいが、天皇杯にはいい思い出があるという。

上写真=山村和也はJ1最終節では判断よくワンタッチパスを送ってゴールを導いた(写真◎J.LEAGUE)

2017年度天皇杯決勝でゴール&アシストでV!

 2018年元日。山村和也はセレッソ大阪の一員として、天皇杯決勝のピッチに立っていた。このシーズン、センターバックからフォワードにコンバートされて、リーグ戦では8ゴールを挙げる活躍。この決勝も2トップの一角として先発した。

 0-1で迎えた65分にボックスの中でまずひと仕事。水沼宏太のシュートのこぼれ球に素早く反応して右足を振り抜く同点ゴールだ。1-1のまま延長戦にもつれ込んだが、90+5分に山村は左からクロスを送って水沼の逆転決勝ゴールも導いている。1ゴール1アシストで見事に天皇杯を獲得したのだ。ルヴァンカップとの2冠達成である。

「天皇杯では決勝で点が取れたことがあって、うれしかったですね」と、それからおよそ4年後の山村は振り返る。そのゴールシーンがハイライト映像で流れるのを見るたびに、「懐かしいな」と感じるという。

 その当時の攻撃センスはいまも生きている。今季のJ1最終節となった2位横浜F・マリノスとの頂上決戦では、先制ゴールの起点となった。中盤で橘田健人がティーラトンとのバトルに勝ってボールを引っ掛けると、山村の前にこぼれてくる。

「健人がティーラトンのところで奪ってくれて、高い位置にアキさんがフリーでいたのが見えました」

 ボールが足下に入る前から家長昭博が右前方にポジションを取っていたのを視野に入れていた。迷いなくワンタッチでスパッと送った。家長はループ気味のクロスを送り、レアンドロ・ダミアンが得点王獲得へと突き進む23ゴール目となる先制弾をヘッドでたたきつけて決めた。

「パスがつながったのは良かったですけど、アキさんのパスが良かったし、ダミアンが決めてくれたのでうれしかった」

 自らが繰り出した判断の良いパスの手柄にしないところがこの人らしいが、もし今回の天皇杯の準決勝、そして勝ち進めば決勝で華やかに活躍したら、もっと誇っていいだろう。