名古屋グランパスは12月9日、2022シーズンより長谷川健太氏が監督として指揮を執ることを発表した。マッシモ・フィッカデンティ監督はクラブ初となるJリーグYBCルヴァンカップ優勝を果たしたものの、AFCチャンピオンズリーグ出場権を逃していた。山口素弘ゼネラルマネジャー(GM)が同日、経緯を説明した。

上写真=12月9日に名古屋が揺れた。前監督の退任と新監督の就任が発表され、山口素弘GMの会見と続いた(写真◎スクリーンショット)

繊細だが、思い切って手を打つ

「双方合意の上で契約満了という形になりました」

 12月9日、名古屋グランパスはマッシモ・フィッカデンティ監督との契約満了、長谷川健太新監督の就任を発表し、山口素弘GMがその経緯を語るオンライン記者会見が開かれた。この言葉通り、強調されたのが「契約満了」であることだった。

 契約に関する内容で詳細は明かせないとしたものの、続投方針は「ありました」と話す。「交渉したことがすべて」とも言っていて、来季への話し合いが進められていたのは事実としている。12月4日の最終節のあとのあいさつでは、小西工己社長も「手前味噌ですが、マッシモ・フィッカデンティ監督と選手たちはよくやってくれました」と称え、フィッカデンティ監督も「名古屋にサッカーに対する熱が戻ってきたと感じています」などと、2022シーズンへの意欲を高らかに語っていた。その5日後に、契約満了が発表された。

「積み上げてきたものを大事にしながら戦っていくのが、基本路線かなと思っています。その中でも足りないところもあります。今年も昨年も優勝したフロンターレとの勝ち点は約20ポイントあるので、ここをどう縮めていくかが課題で、大事なところだと思っています」

 山口GMは長谷川新監督とともに作り上げるチームの近未来像を、こう説明した。「現役時代の長谷川監督も知っていますが、プレーは豪快でしたが、監督としては繊細な部分があり、でも思い切って手を打つところもあると思います。そういうところも期待しています」が山口GMが持つ印象だという。清水エスパルスを6年率いたあと、ガンバ大阪ではJ1に昇格したその年に3冠達成、FC東京でもルヴァンカップを獲得するなど、大胆かつ繊細な手腕でタイトルを獲得してきた実績を評価した格好だ。

「変わってほしいというか、もう一回りもふた周りもいいチームになってほしいと思います。もちろん、変える部分はあると思いますけど、ネガティブな『変える』ではなくてポジティブな『変える』という意味で」

 新監督に求めるものは、これまでと変わらないという。

「ACL圏内に入ること、そして国内タイトルを取ることというのは、ここ何年も変わっていないターゲットです。監督が代わろうとも、そこは変わりません」

「熱く気持ちのこもったアグレッシブなチームを創り上げていきたい」とは、長谷川監督の所信表明。マッシモ流の厳格な哲学に、健太流の大胆さがどう積み上がっていくのか。2022年の名古屋グランパスに注目だ。