上写真=67分にレアンドロ・ダミアンが通算23ゴールで先制!(写真◎J.LEAGUE)
■2021年12月4日 明治安田生命J1リーグ第38節(@日産ス/観衆30,657人)
横浜FM 1-1 川崎F
得点者:(横)前田大然
(川)レアンドロ・ダミアン
「アキは自分の動きを理解してくれている」
最後は熱い抱擁だった。レアンドロ・ダミアンと前田大然はどちらからともなく歩み寄り、右手を合わせたあと抱き合って、お互いを称え合った。
「彼も今シーズンは素晴らしい活躍をして、得点王に値するプレーでした。おめでとうと言いました」
レアンドロ・ダミアンはそう明かす。
どちらも22ゴールを挙げて、最終節で直接対決。得点王争いの筋書きのないラストバトルは、見応えある展開となった。
0-0のまま突入した67分に、川崎フロンターレは相手のパスミスを拾った山村和也がワンタッチで右オーブンに展開。家長昭博が抜け出して、あえて滞空時間の長いループ気味のクロスを送った。中央でレアンドロ・ダミアンがヘッドで力強くたたきつけると、地面に当たって跳ねたボールはGK高丘陽平が手で触るものの、そのままゴールに吸い込まれた。
「ヤマ(山村)がインターセプトしてアキ(家長)に渡して、アキは自分の動きを理解してくれているので、いいボールを送ってくれました。うまくキーパーを外したところにヘディングできてよかった」
前半は相手のペースだったから、貴重な先制ゴールだった。ところが、74分には前田にもゴールを奪われてしまう。90+3分にはレアンドロ・ダミアンにビッグチャンスが来て、今度は左からの知念慶のクロスにまたもやヘッドでたたいたが、同じように跳ねたボールは、今度はわずか右に切れていった。
試合も、得点王の座も「引き分け」となったが、レアンドロ・ダミアンは清々しい笑顔だった。
「前田選手も素晴らしいプレーだったので、得点王に値すると思っていました。一緒に得点王になれたこともうれしく思っています」とは、さすが人格者。「(単独得点王は)特にそんなに意識するところはなかったし、チームの勝利、優勝がいちばん大切なので、おかげさまで得点王になれたのはうれしく思います」といつも通りに、謙虚に受け取った。
それでもまだ、貪欲だ。
「今季はまだ終わっていないので、いろいろなものを勝ち得たい」
天皇杯で優勝するまであと2試合。ここでレアンドロ・ダミアンはあといくつのゴールを奪い取るだろうか。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE