湘南ベルマーレが最終節に残留をかける。明治安田生命J1リーグ第37節では徳島ヴォルティスとの残留争い直接対決で0-1で敗れ、ホーム最終戦で星を落とした。しかし、降格圏に脱落したわけではない。岡本拓也が誓うのは、ベルマーレらしさをもう一度思い出して、残留をつかむこと。

上写真=急逝したオリベイラを悼むメッセージの書かれたTシャツを着て、岡本拓也はホーム最終戦であいさつした(写真◎J.LEAGUE)

■2021年11月27日 明治安田生命J1リーグ第37節(@レモンS/観衆6,428人)
湘南 0-1 徳島
得点者:(徳)岸本武流

「オリにいい報告をできるように」

「先日、チームにはとても悲しい出来事が起きました。オリ(オリベイラ)はとても陽気な性格で、いつもチームにポジティブな雰囲気をもたらしてくれました。ウェリ(ウェリントン)やジュニ(ウェリントン・ジュニオール)と明るく無邪気に話す姿を見れないと思うと、とても悲しいです。しかし僕たちは、オリの分まで戦っていかなければいけません。あと1試合、自分たちで残留を決めるチャンスがあります。しっかり戦ってオリにいい報告をできるように全員で頑張っていきたいと思います」

 11月27日の明治安田生命J1リーグ第37節は、湘南ベルマーレにとってホーム最終戦だった。徳島ヴォルティスとの残留争い直接対決で0-1で敗れてしまった試合後、セレモニーで岡本拓也はスタンドのファン・サポーターにていねいに、特別な思いを込めてそう語りかけた。チームメートのオリベイラが急性うっ血性心不全で、23歳の若さで急逝。死亡推定時刻11月23日午前0時頃とされた。そこからの日々は、悲しみとともに過ごしてきた。

 試合はなかなか思い通りに進まなかった。お互いに様子を見るような前半から、お互いに後半に一気にパワーを攻撃に振り向ける展開だったが、効果的な攻撃は少なく、セットプレーから失点。0-1のまま終了のホイッスルを聞いた。

「若い選手も多いですし、その部分で力を出させてあげることができなかったのは申し訳ないなと思います。自分自身、もっとリーダーシップを取ってやっていかなければいけないなと思いました」

 自慢の推進力で右サイドの高いエリアに進出したが、ゴールに結びつかない。岡本は84分にピッチをあとにして仲間に託したが、悔いばかりが残った。

「今日も素晴らしい雰囲気を作っていただきましたし、その期待に応えたかったですけど、自分たちらしさを出せた場面が少なかった。もう一度原点に立ち返ってプレーしないといけないなと感じました」

 勝てば残留というホーム最終戦で中途半端な試合をした悔恨。オリベイラに勝利を届けることができなかった悲しさ。この敗戦で徳島と勝ち点36で並び、残留決定は最終節まで持ち越された。岡本はすべてをかけて前を向く。

「ベルマーレはこれまでも逆境を乗り越えてきたチームですし、リバウンドメンタリティーがあるチームだと思っています。その気持ちを大事にして、もう一度1つにまとまって、ベルマーレらしく戦いたいなと思います」

 12月4日、アウェーでのガンバ大阪戦で勝って、J1残留を天国に報告しなければならない。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE