浦和レッズの宇賀神友弥が21日、オンラインで取材に応じた。浦和一筋12年、アカデミー時代を合わせれば18年間を過ごしたクラブを今シーズン限りで契約満了となり、離れることになった。本人の口から現在の心境と今後について語った。

上写真=36節の横浜FM戦で終了間際に出場した宇賀神。胸のエンブレムを握る姿が印象的だった(写真◎Getty Images)

違ったクラブで違った目線から浦和を見る

「2021シーズンを持ちまして浦和レッズを退団することになりました。プロサッカー選手になってからの12年間、そして浦和レッズの下部組織に入ってから合計で18年間、レッズというクラブに関わることができて本当に幸せでした。浦和レッズというクラブの素晴らしさを本当に長い間、感じることができました。これから違うクラブになるのか、今後のことはまだ考えていませんが、違ったクラブで、違った目線から浦和レッズというクラブを見て、そして記者の皆さんに、浦和レッズの素晴らしさを届けたもらいたいなと思っています」

 18日に今季限りで契約満了となることが発表された宇賀神が、現在の心境を語った。オンラインで行なわれた会見(囲み)の冒頭のあいさつからクラブに対する深い愛情を口にした。

「自分自身、契約満了の話をされたときに、浦和レッズで終わりたいなという気持ちがあった反面、出場機会が減ってきた中でプロサッカー選手として考えると、他のチームに行くべきなのか、それとも浦和レッズに戻って引退すべきなのかと考える日々をずっと過ごしていました。今回こういう決断をチームから下されたというのは非常に悔しい結果でしたけど、自分個人としては、すっきりしているというか、次に向かってどんな人生を歩んでいくんだろうとワクワクしている自分もいます」

「浦和レッズ一筋で引退」することで、下部組織の選手の目標や夢を与えられると信じていたという。だからこそ浦和でユニフォームを脱ぎたい思いもあったが、一方でサッカー選手としていかにキャリアを全うするかについて考えていたと明かした。今季はここまで18試合でプレー。そのうち先発は8試合。新たな機会ととらえ、前に進むことに決めた。

「18年間、浦和レッズしか見てこなかったので、また違う視点から浦和レッズの良いところ、悪いところをしっかりと見て、帰ってきたいと思いました」。自らは外から浦和を見つめることになったが、後輩たちには愛するクラブを覚悟を持って発展させてほしいとメッセージを送った。

「『浦和を背負う責任』ということをチームとして掲げています。僕自身がずっと意識してきたのは、浦和レッズは『サポーターがすごいよね』と言われていると思いますが、そのサポーターの熱に選手が絶対に負けてはいけないということです。サポーターの思いよりももっと強いものを持っているぞというのをピッチで表現しなければいけないと意識してきました。それだけすごいサポーターの思いを背負っているんだというのを一人ひとりが自覚して、責任を持ってプレーしなければいけない。そのことをこれから来る選手、来年以降浦和に残る選手には意識してプレーしてもらいたいなと、思っています」

 この会見の前日の横浜F・マリノス戦では関根貴大のプレーから、浦和の伝統を受け継ぎ、背負っていく者としての覚悟が感じられたと宇賀神は期待を寄せた。また、リーグ優勝を果たせず、「自分が在籍した12年間でこれだけ試合に出て、サポーターの人にシャーレをプレゼントできなかったというのが本当に心残り」としながら、「必ず浦和レッズに帰ってくると心に決めていますし、帰ってきたときにシャーレを掲げられるようにしたいなと思っています」ともコメント。続きがあることを信じて、先に進むと話した。

 リーグ戦は残り2試合。次戦は「自分の家」と語る埼玉スタジアムで戦うホーム最終戦だ(27日)。強い思いを持ってピッチに立ちたいという。準決勝に進んでいる天皇杯も残しているが、そのすべての試合で最後まで浦和レッズの宇賀神友弥としてプレーすると誓う。会見の最後に、宇賀神は改めてファン・サポーターにメッセージを送っている。

「(入場)制限が3万人になるとのことで、間違いなく3万人の方が来てくださると信じています。そして、昨日の試合でもそうでしたけども、たくさんの方に3番のユニホームを掲げていただいて、僕が浦和レッズで残してきたものと、皆さんの愛情というものを受け取りたいと思っています。ぜひスタジアムに来ていただきたいと思っています。そして本当に、埼玉スタジアムでプレーできる時間が限られてしまったので、あのピッチに立つ時間というのを噛み締めながらプレーしたい。皆さんと最高の時間を共有したい。最後、おそらくスピーチの時間があると思うので、そこで初めて泣いちゃうんじゃないかなと思いつつも、ここで伝えられなかったことだったりとか、サポーターの皆さんに直接感謝の気持ちを伝えたいし、自分が思っている気持ちを伝えたいと思っているので、ぜひとも最後、埼玉スタジアムで走り回る僕の姿を見に来てもらえれば」