浦和レッズのリカルド・ロドリゲス監督が思わず涙した。阿部勇樹の引退発表に続き、槙野智章と宇賀神友弥と立て続けにベテランの契約満了が発表され、11月19日の記者会見の場で感極まった。常に前進しなければならないプロの世界に生きる者として、次の時代を作る決意を明かした。

上写真=リカルド・ロドリゲス監督はベテラン3人の退団について語ると涙。彼らに最大限の敬意を表した(写真◎スクリーンショット)

「未来の浦和を作らないといけない」

「彼らに愛情を感じています」

 リカルド・ロドリゲス監督はそう言って、こぼれる涙を隠さず、次の言葉を継ぐまでに少し時間をかけた。阿部勇樹、槙野智章、宇賀神友弥と立て続けにチームを去ることが発表され、この1シーズン、ともに戦ってきた選手たちへ最大の敬意を表した。

「常に選手をサポートしたいと思っていますが、逆に彼らにサポートされました。非常に難しい決断でした。貢献は残るものですし、彼らのこの状況をモチベーションとして感じています。1カ月後に阿部が天皇杯を掲げる姿を想像しながら戦いたいと思います」

 彼らのためにも、J1で3位に入るために残り3試合を戦い、タイトルを獲得するために天皇杯の準決勝、そして決勝へと進むつもりだ。

 プロの世界では別れがつきものであることは十分に承知している。

「選手はプレーするのが一番好きです。長年浦和にいて、そこを去るのは難しい状況ですが、サッカーにはサイクルがあってすべてにおいて終わりがあります」

「今後も彼らにサッカーに関わってもらいたいですし、プレーし続ける時期もあるだろうし、指導者になったりフロント入りすることもあるでしょう。私が力を貸せることがあれば喜んで貸したいと思います」

 敬意と愛情の積み重ねが、クラブの歴史と深みをつくっていく。

 そんなつらいニュースを胸に戦う最初の相手が、11月20日の横浜F・マリノスであるというのは素晴らしいことではないだろうか。すでに3位以内を確定している強豪を相手に、ここまで培ってきたパワーを、チームを去る選手の思いとともにぶつけることができる、最高のライバルだ。

「スタイルがはっきりしている相手です。縦へのスピードがあり、一瞬でも気を抜けばダメージを食らいます。でも、パーフェクトではないと思います」

 横浜FMも一時の勢いを失って川崎フロンターレを追撃しきれず、前節はFC東京に8-0という大差で勝利しているが、その前はセレッソ、ガンバと大阪勢に連敗している。6位の浦和も3位の可能性にかけていて、現在3位のヴィッセル神戸には8ポイントの差をつけられているが、「勝ち点3を取れば希望を起こすことができます」と負けるつもりはない。

 リカルド・ロドリゲス監督は改めて「未来の浦和を作らないといけない」と強調する。涙を拭って、その第一歩を踏みしめるために、横浜FMに勝つ。