名古屋グランパスの相馬勇紀がJ1第36節・ガンバ大阪戦(20日)を前にオンラインで取材に応じた。リーグ中断明けの試合に向けてコンディションは万全だという。ACL出場権獲得に向けて残り3試合に全力を注ぐと誓った。

上写真=リーグ戦の残り3試合に向けて強い決意を語った相馬勇紀(写真◎小山真司)

残り3試合は原点の部分が大切

 リーグ戦に加え、ルヴァンカップで決勝まで戦い、国外でACLに臨み、名古屋は10月から11月7日までのおよそ1カ月あまり、連戦と隔離生活でJ1の中で最も過酷なスケジュールをこなしたチームと言っていいだろう。11月の代表ウイークで久しぶりに休みを得た相馬が、リーグ再開を前に取材に応じた。

2、3週間前からコンディションが上がってきて、今週もしっかり休養とトレーニングのメリハリをつけてできています。コンディションは上がってきている状況です」

 厳しい日程を戦い抜き、ルヴァンカップで優勝した経験はチームを、そして選手を強くしたに違いないが、休養はやはり必要だった。「イメージと身体が合ってきて、スピードで刺せば抜けるというか(笑)。今は思った通りに身体が動いているので、そういった面で視野も上がってきていますし、良い状態かなと思います」。リフレッシュできたという相馬は、晴れやかな表情で語った。

 リーグ戦はいよいよ残すところ3試合。ACL出場権獲得のために負けられない戦いが続く。次戦の相手はガンバ大阪。今季の11節(4月22日)、ホームで対戦した際には2-0で勝利を収めている。後半に相手を突き放す追加点を挙げたのが相馬だった。吉田豊のパスを受けるとドリブルでボックス内に進入。相手守備者を冷静にかわしてネットを揺らした。「前半戦の戦いでは、相手のラインが高かったので背後を取るとができたイメージがあります。ただ、去年はガンバのアウェーでは逆転負けをした記憶もある。ガンバは名門ですし、個々に力を持った選手が多いですから、勝ったという浮わついた気持ちではなく、しっかり地に足をつけて臨みたい」。前回の対戦は半年以上も前。相手はその当時とは監督も代わっており、また異なる戦いになると気を引き締めた。

 取材の前日深夜にはW杯アジア最終予選の日本対オマーンのがあり、今回のチームには東京五輪でともに戦ったメンバーが多く招集されていた。中でも左サイドでポジションを争った三笘薫がA代表デビューを飾り、こう着状態にあったチームの攻撃を活性化。決勝アシストも記録した。

「本当に、いち選手としてこの前の試合では(三笘が)日本代表を勝たせていて良かったなと思います。でも僕と薫は違う選手ですし、何と言うか、あの試合はいち視聴者として応援していましたが、自分は自分。変な意味で考えすぎていないというか、試合は見ましたけど、自分は自分だと思って、しっかりグランパスのためにやりたいなと思いました」

 目の前に試合に注力することが、未来につながっていることは相馬自身が一番よく分かっている。そこに焦りも気負いもない。今いる場所で全力でプレーする姿勢にブレはない。残りのリーグ戦で結果を出すのみだ。「アシストや得点という結果を出して、チームを勝たせられる存在になりながらも、そこだけにフォーカスしていてはいけないと思っています。自分では対人の守備も得意だと思っているので、目の前の敵に負けないことであったり、しっかりとまずはチームのために走るというところ。そういった一番の原点の部分が、残り3試合では一番大切な部分になってくると思う。基礎の部分からしっかりやっていきたい」。相馬は、相馬の道をまっすぐ行く。シーズンを良い形で締めくくるために。