見事にJ1連覇を達成した川崎フロンターレ。キャプテンの谷口彰悟は今季途中で負傷離脱がありながらも、チームを引っ張った。その喜びに加わったのが、日本代表復帰の朗報だ。チャンピオンとしての自覚を胸に、ワールドカップ最終予選の難局で力になる。

「スライドに遅れたときに誰をどこに戻すのか」

谷口彰悟は6月シリーズ以来の日本代表復帰となった(写真◎Getty Images)

 それを、見ている人は見ている。日本代表の森保一監督は11月シリーズで谷口を復帰させた。カタール・ワールドカップアジア地区最終予選の難しいアウェー2連戦、ベトナム戦とオマーン戦で、6月以来のメンバー入りだ。

 その最終予選では、直近のオーストラリア戦で川崎Fに似た4-3-3システムを採用し、守田英正と田中碧と、川崎Fでともに戦ったメンバーが最終予選で初めて先発して2-1で勝利をもぎ取った。そんなチームに加わることになる。

「システムがどうなるかなどは、実際に始まってみないとわからないですけど」と前置きしながら、「こういう強みがあるとか、こういうことが起きやすいということはある程度理解しているつもりで、普段やっていない選手に伝えられることはあると思っています」。4-3-3のメリットとデメリットに日々、向き合っているからこその自負を、世界への戦いへと生かしていく。

 その「起きやすいこと」の一つが、オーストラリア戦の失点だろう。守備の連動でズレが生まれ、そこを突かれて運ばれて、FKを与えて直接決められた。

「ああいうシーンは4-3-3で起こりやすい現象です。あの試合はきちんと前線からの守備が整備されていたと思って見ていました。ボールへのプレスの行き方もスライドも良かったなと。それでも、それぞれの判断でプレーするやり方である分、スライドが遅れるのは起こりうることです」

 そこまではチームとして織り込み済みにしておいて、大事なのはそのあとだと考えている。

「スライドに失敗したら失点してしまうから、じゃあ(やらない)、というのはもったいない。大事なのが、失敗したときの対応です。スライドに遅れたときに誰をどこに戻すのか、一番危ないところはどこなのかについては詰めていけるポイントです」

 ほかには山根視来も復帰したし、旗手怜央と、夏まで川崎Fでプレーした三笘薫の2人が初めて選ばれている。彼らが共有するメカニズムをしっかり日本代表の中に広げ、新布陣の練度を高めて、日本の力になるつもりだ。