川崎フロンターレは3日、リーグ戦4試合を残してJ1リーグ優勝を決めた。ACLも戦う厳しい日程、夏場に主力が移籍した中でも着実に勝ち点を積み上げて連覇を成し遂げた。その歩みの中で得点源としてだけではなく、献身的なプレーでチームをけん引したのが、レアンドロ・ダミアンだった。

上写真=同じく副将を務める脇坂泰斗とともに中央でシャーレを掲げるレアンドロ・ダミアン(写真◎小山真司)

サポーターの皆さんと優勝できてうれしい

 文字通り、チームのけん引車になった。川崎Fに加入して以降、常に先頭立ってプレーしてきたが、今季は副キャプテンに任命され、よりその姿勢が鮮明になった。

 積み上げた17ゴールもさることながら、相手ボールホルダーに果敢にプレッシャーをかけ、時には奪い切ってゴールにつなげる守備面の貢献度も高かった。この日も試合開始直後に相手にプレッシャーをかけるプレーで仲間を鼓舞し、スタンドから大きな拍手を受けている。積極性も献身性も現在のチームに欠かせないもの。そんなレアンドロ・ダミアンに対しては当然、サポーターからも大きな愛情が注がれている。そしてその相思相愛の関係は、L・ダミアンにとって喜びであり、誇りだ。だからこそ優勝決定直後の取材でも、まずサポーターについて語った。

「素直にうれしく思いますし、サポーターの皆さんと一緒に喜び合うことができたんじゃないかなと思っています。試合前、このようなこと(=優勝)が起きるとは思ってもいませんでしたが、ただチームメイトとサポーターのみんなと、ホームで優勝できたので、とてもうれしく思っています」

 思えば今季は、これまでになく難しいシーズンだった。コロナ禍が続き、シーズン途中には主力選手が移籍した。目標だったACLに敗れ、モチベーションを維持することにも苦労した。だが、それらすべてを乗り越えてチームは連覇を達成した。

「キャンプから始まって、ACLに出場し、コロナ禍で長い期間の隔離生活があり、家族から離れて生活をしなければいけなかった。そういった難しい中で、コロナの影響でサポーターの皆さんがスタジアムに来られないということもありました。色々な状況によって距離感を感じるシーズンでした。ただ、そういう難しいシーズンの中で、自分たちは目標を掲げて戦い続けた。そのことで、(優勝に)つながったのだと思います」

 得点後も失点直後も、L・ダミアンはいつも大きな声を出し、味方を鼓舞した。プレーで、そして姿勢でチームを引っ張り、戦い、ついに優勝を勝ち取ったのだ。田中碧と三笘薫が移籍し、東京五輪によるリーグの中断が明けたあと、思うように勝ち点を積み上げられない時期があった。それでも「続けること」でチームは持ち直し、L・ダミアンもアグレッシブにプレーした。リーズン終盤に来て9月29日の神戸戦からは3試合連続ゴールを達成し、優勝をグッと引き寄せてみせた。

「自分の第一の目標はチームの一員として優勝すること。こうやってタイトルを取れたことはすごくうれしいです。得点王争いについては、チームの力になることが自分の中での最大の目標なので。(リーグ戦は)残り4試合あるので、その中で自分が得点を重ねられればうれしいですし、それがチームの力になれればもっとうれしいです」

 チームファーストでプレーし、ゴールを重ねてきたL・ダミアンは、最後まで変わらぬ姿勢でピッチに立つ。トップの前田大然の18得点にあと1点と迫るが、得点王はあくまで結果。次なる目標はチームとして狙う天皇杯優勝。2年連続の二冠達成に向けて真っすぐに歩を進めていく。