上写真=脇坂泰斗はセットプレーのキッカーとしても好調。重要な試合でその右足がカギを握る(写真◎小山真司)
「ホームでまた結果を出したい」
優勝が、連覇が目前だというのに、脇坂泰斗は怖いぐらいに冷静だ。
「あまり普段のゲームと変わらないですね」
理由はそんなに複雑ではない。
「首位でリーグを引っ張っていこうと最初からずっとやってきているので、熱量は変わらないんです」
川崎フロンターレは11月3日に浦和レッズとのJ1第34節を控える。ここで勝てば、2位の横浜F・マリノスがガンバ大阪に引き分け以下で優勝決定。引き分けても、横浜FMが敗れれば決まる。それでも、最初から優勝を現実的な目標として掲げてきたから、この期に及んで特別な向き合い方はしていない。
自身が好調だからの余裕もあるだろう。直近の天皇杯準々決勝では難敵鹿島アントラーズを3-1で下したが、山根視来、家長昭博とのトライアングルで面白いように右サイドを崩した。その上で、1得点2アシストとすべてのゴールに関わる活躍ぶりだ。鬼木達監督も試合後に「彼の特長はゴールに絡むこと。普段から良いプレーをしていますが、結果を残してくれました。あとは強度のある相手にどれだけできるかが課題ですが、それでも素晴らしいプレーをしていたと思います。自信を持って続けてほしい」と称賛している。
その好リズムのまま、浦和戦に向かう。相手に不足はないだろう。リーグのアウェーゲームでは5-0で圧勝、豪快な左足ショットも決めているが、その一方でルヴァンカップ準々決勝では悲劇を味わった。アウェーの第1戦で自らが獲得したPKで1-1のドローに持ち込み、ホームでもCKから2アシストするなど、一時は3-1でリードしながら、最終的にアディショナルタイムに決められて3-3とされて大会から突き落とされた因縁がある。
「確かに得点していたり、ルヴァンカップのホームゲームでもアシストしたりと結果を出せているので、今度もホームでできますし、また結果を出したいという思いがあります」
軽快な右サイドは、浦和の好調な左サイドと対峙する。サイドバックの山中亮輔が生き生きとプレーしているだけに、やっかいだ。
「山中選手のところは一つストロングになっていると思います。そこを逆に活かしたいというか、(山中が)高い位置を取ってくるので、そこを僕たちも狙っていきたい」
対決する選手たちも、それを見る私たちも楽しみで仕方ないそのハイレベルな攻防の向こうに、歓喜の笑顔が待っている。