10月30日のJリーグYBCルヴァンカップ決勝で、セレッソ大阪は名古屋グランパスに0-2で敗れて目の前でカップをさらわれた。前半からの好リズムを支えた乾貴士は、勝てなかったことで自分自身の弱さに直面することに。悔しさばかりが残るファイナルになってしまった。

上写真=乾貴士の表情からは悔しさが読み取れる。タイトルを目前にしながら果たせず(写真◎小山真司)

■2021年10月30日 JリーグYBCルヴァンカップ決勝(@埼玉/観衆17,933人)
名古屋 2-0 C大阪
得点者:(名)前田直輝、稲垣 祥

「中へ中へと行き過ぎた」

 乾貴士の開口一番は「お詫び」だった。

「悔しいのと、出られなかった選手、そして応援してくださったサポーターの皆さんに申し訳ない気持ちでいっぱいです」

 10月30日のルヴァンカップ決勝は名古屋グランパスとの対戦。その3日前にも名古屋と天皇杯準々決勝で戦っていて、セレッソ大阪はいつも出場機会に恵まれない選手を中心にメンバーを組み、3-0で快勝していた。勝利の立役者である彼らの多くは、ルヴァンカップ決勝のメンバーに入らなかった。だからこそ、彼らのためにカップを持ち帰りたかった。

 前半はC大阪が押し込みながら、名古屋の守備のプランを壊せずに0-0。すると、後半開始直後にCKから失点を許してしまった。

「守備を重視した感じの戦いを名古屋はやってきて、あとはカウンター狙いだと。前半が終わった時点で名古屋としては狙い通り、プラン通りだったのではないか」

 C大阪にとっての勝負の境目は、75分、78分の連続チャンスだったかもしれない。左サイド深くからのFKのこぼれ球を松田陸がダイレクトでたたいたが、強烈なミドルシュートは惜しくも左ポストに阻まれた。続けて乾が左に展開、折り返しを再び松田がミドルシュートを放ち、これに追いつこうと必死に食らいついた大久保嘉人がプッシュしようとするが、左に外れた。少なくともこのどちらかの決定機が決まっていれば、振り出しに戻して別の展開になったはずだ。

 しかし逆に、79分には2点目を決められてしまう展開に。

「自分たちは早い時間帯で点を取らないと、あのような戦い方になってしまう。前半、1点を取るくらいの勢いを持って、試合に入るべきだったかなと思います」

 前半に好リズムを繰り返したからこそ、ゴールを奪えなかった戦いぶりが、チームの流れに大きな影響を及ぼしたという反省だった。

「特に後半、相手が中を固めているところで、中へ中へと行き過ぎた部分がありました。チームとしてもう少し外を使ったり、臨機応変にやっていくことを考えていかないといけない」

 リードを許したまま進んだ後半は、ゴールへの最短距離を急ぐあまりに、名古屋が自信を持って固めてきた中央の壁に挑んでは阻まれていった。

「結果がすべてなので、勝ち切れなかったことは自分たちの弱さだと思いますし、自分自身の弱さだと思います」

 乾ほどのキャリアの持ち主でも、自分の弱さをえぐり出された頂上決戦。これを無駄にするつもりはない。