ルヴァンカップ優勝を果たした名古屋グランパスの稲垣祥がMVPを受賞した。セレッソ大阪との決勝では勝利を決定づける2点目を得意の形でスコア。チームとして苦しい時間を乗り越えて、「リバンドメンタリティーを示して」つかんだ栄冠だった。

上写真=チームの2点目をボレーで決めた稲垣祥。MVPを受賞した(写真◎小山真司)

決勝トーナメントで5戦4発!

 試合後、MVPを受賞し、インタビューに答える稲垣は、ようやく晴れやかな表情になった。

「ここ2週間、絶望のような時間を過ごしてきて苦しい中で戦い抜いて、ファミリーのみなさんの熱い声援もあって力になりました。ありがとうございました。耐え抜いて自分たちらしいサッカーできました」

 決勝戦では前半、C大阪に押し込まれ、苦しい戦いを強いられた。その中で前田直輝の得点に続き、勝利を引き寄せる2点目を決めた。シュヴィルツォクのシュートのこぼれ球に反応。右足ボレーでネットを揺らした。

 今大会の稲垣は、何度もFW顔負けの勝負強さを見せてきた。鹿島との準々決勝第1戦でも、2チームの2点目を記録。成瀬竣平のマイナスのクロスを走り込んで決めている。後半の立ち上がりの貴重な時間帯の追加点。勝利をグッと引き寄せた。

 続くアウェーの第2戦は、逆転突破を狙う相手の攻め気を削いでみせる。右サイドを突破したマテウスのマイナス気味のパスに走り込んでシュートを放ち、再びネットを揺らした。準々決勝第1戦を再現するようなゴール。機に臨み、時に応じて走り込む稲垣がチームの武器になっていた。

 ホームで迎えたFC東京との準決勝第1戦は、チームは3-1で勝利を飾った。稲垣はゴールこそなかったが、フル出場で貢献した。そしてアウェーの第2戦。第1戦でアウェーゴールを与えたことで戦い方が難しい状況だったが、相手に2点を先行されてますます苦しい展開になった。そこで突破を決める1点を記録したのが、また稲垣だった。

 残り時間10分となり、追い詰められた状況の中でネットを揺らした。ボックス内の連続攻撃で混戦となり、シュヴィルツォクのシュートのこぼれ球に反応。自らのシュートは一度、相手DFにストップされたが、諦めずに頭で押し込んで2戦合計4-3とし、チームを初の決勝進出に導いた。

 まさにけん引車となってチームの先頭に立ち、結果も出してカップを掲げた。決勝はもちろん、大会を通じても、まさにMVPにふさわしい活躍だった。

「(27日に)天皇杯でやったときから(C大阪は)チームとしてまとまっていて苦戦させられました(0-3で敗戦)。でも崩れることなく敗戦からリバウンドメンタリティーを発揮できて最高です。このタイトルがさらに自信となってステップアップできると思う」

「クラブとしてこのタイトルを獲れるか獲れないかで大きく違うと思っていました」

 名古屋にとって初めてのルヴァンカップ優勝。もちろんチーム全員、ファミリーの力もあってそれは成し遂げられた。ただ、その中心に稲垣祥がいたこともまた、疑いようのない事実だろう。