10月27日の天皇杯準々決勝で鹿島アントラーズは川崎フロンターレに1-3で敗れて敗退、今季無冠が決まった。クラブ創設30周年の年にタイトル獲得を、という意気込みとともに夏にポルトガルから戻ってきた安西幸輝は、自らの力不足と肩を落としたが、戦いをやめるつもりはない。

上写真=安西幸輝は夏に復帰してからタイトル獲得に挑んだが、無冠に。だが、残り試合を全力で戦う(写真◎小山真司)

■2021年10月27日 天皇杯準々決勝(@等々力/観衆9,776人)
川崎F 3-1 鹿島
得点者:(川)オウンゴール、旗手怜央、脇坂泰斗
    (鹿)荒木遼太郎

「最初の15分で圧をかけられなかった」

「完敗かな、と思います」

 鹿島アントラーズが10月27日の天皇杯準々決勝で川崎フロンターレに1-3で敗れて、安西幸輝は率直にそう話した。完敗としたのは、ゲームプランについて振り返る中でのことだった。

 相馬直樹監督は、4日前のJ1でFC東京に2-1で勝って手応えを得た戦い方、つまり早いタイミングで前線にボールを運んでおいて、相手陣内で前を向いてプレーすることを狙っていた。しかし、川崎Fにボールを持たれ、奪ってもまた回収されて、ボールを運ぶ前の段階で後手に回っていた。

「等々力はピッチがいいしボールが走るので、最初の15分で圧をかけられなかったのが要因だと思います」

 安西の言うように、ピッチの中では鹿島の両サイドバックと川崎Fの両ワイドの駆け引きが、ボールのないところでも繰り広げられていた。

「家長(昭博)選手とマルシーニョ選手があまり守備をしないでサイドバックを上がらせないようにする感覚になっていたので、完敗かな、と思います」

 これで攻撃への最初の一歩を抑え込まれると、守備でも家長、脇坂泰斗、山根視来のトライアングルに翻弄された。安西は常に嫌な場所を取る3人に対して、奪いに行こうとしても行けなかった、というもどかしさを明かした。これを脇坂は「サイドバックをロックする」と表現したが、この駆け引きで安西が守備でも優位に立てなかった。

 32分、48分、51分と失点して3点のビハインドを負い、なりふり構っていられなくなると、吹っ切れたようにドリブルで仕掛けられるようになる。交代選手を使いながらパワーアップして、90分には左サイドを抜けてセンタリング、相手にブロックされたがこぼれ球を荒木遼太郎が押し込んで、1点は返した。

「鹿島が大好きだし、ポルトガルから帰ってきて(内田)篤人くんの背番号ももらって、どうにかして練習からチームを勝たせたいと毎日思っています。だから、本当に……うん、悔しいです」

 これで無冠が決まった。でも、試合が続く限り、「鹿島とはこういうチームだというのを見せられれば」と、大好きなこのクラブを勝たせるための努力は続いていく。

取材◎平澤大輔 写真◎小山真司