FC東京の中盤で、高萩洋次郎が円熟味にあふれるプレーを披露している。ここ4試合で連続出場、うち3試合は先発で、直近のJリーグYBCルヴァンカップ準決勝第2戦では1得点1アシストと結果も残した。残りはもう6試合。幻惑のワンタッチパスを1本でも多く通して、ゴールにつなげるつもりだ。

上写真=高萩洋次郎は残り6試合へ「気持ちが伝わる試合がしたい」と意気込む(写真提供◎FC東京)

「自分はつなぎ役になって」

 柔らかなタッチ、一瞬を見逃さないポジショニング。高萩洋次郎ここにあり、を改めて知らしめる2つのシーンだった。

 10月10日のルヴァンカップ準決勝第2戦。名古屋グランパスとの決戦は第1戦で1-3で敗れていて、この第2戦は2-0以上の勝利が必要だった。だから、攻めた。

「決めていたわけではないので、相手の状況を見て2人で判断をして」選択したのは、15分の右CKの場面。キッカーの渡邊凌磨はそのまま中央に蹴り出すのではなく、マイナス方向、ペナルティーエリアの角あたりでフリーになっていた高萩を見つけて送った。高萩は右足のワンタッチで、柔らかくて、でも力のこもったロブパスをゴール前へ。これをアダイウトンがヘッドで突き刺して、まずはテクニカルなアシストでリードを導いた。

 55分も「ワンタッチ」がきっかけだ。自陣右寄りで後ろからのパスを引き出して、前方の右ワイドに張っていたディエゴ・オリヴェイラにダイレクトで送り届けた。これでスピードアップしたディエゴ・オリヴェイラが突き進むドリブルに合わせて、ボールウォッチャーになった相手の死角にうまく隠れながら、高萩はゆっくりとゴールに向かって進んでいく。

「後ろからしっかりボールをつないで、ディエゴ(オリヴェイラ)がゴール前まで運んでくれたので、僕自身はディエゴに渡してからゴール前に入っていく時間がありました」

 折り返しを永井謙佑がシュートしたその瞬間、さらに一歩前に出た。「(永井)謙佑がシュートを打ってつぶれてくれたのでこぼれて来ましたけど、しっかりと後ろからゴール前まで運べたことは良かったです」。DF中谷進之介がブロックしたボールが目の前にこぼれてきて、右足でしっかりとゴールに送り込んだ。

 しかし、ご存じのとおりに80分に稲垣祥に決められて2-1となり、2試合合計3-4で連覇の夢は絶たれた。

 それでも、この2つのビッグプレーに高萩の好調のエッセンスが詰まっている。

「前線に推進力がある選手が揃っているので、自分はつなぎ役になって、彼らが動きやすくなるプレーやボールを持って前に進めるようなプレーを心がけています」

 まさに、2点目のディエゴ・オリヴェイラへのワンタッチパスが象徴だ。自陣から一気に相手陣内に進むスイッチを、自らのパスでオンにしてみせた。

「周りがやりやすいポジション取りやパス出しを心がけています」とは、まさに1点目に当てはまる意識。CKで誰にも捕まらない場所に位置してボールを受け、アダイウトンがヘッドでたたきやすいスピードと軌道のラストパスを送った。

「できればゴールに直結するプレーを第一に考えていて、それできないときに何ができるか。第一優先としてゴールに向かうことを意識しつつ、できないときにどう判断するかですね」

 ピッチ全体のプレースピードを操るために、まずは「急」で次に「緩」。そのリズムがチームをスムーズに動かしている。

 名古屋とは素晴らしい試合を演じながら敗退の憂き目にあった。リーグ戦も目標の3位まで14ポイントと差が開いている。でも、だからこそ「プロとしての責任を果たしたい」と言い切る。勝利。それをまずは、次の鹿島アントラーズ戦で表現するつもりだ。

「鹿島さんは伝統的に変わらずにサッカーの勝負強さ、サッカーの基本で負けないところをベースにしているので、そこで上回らないと結果がついてこない」

 戦うことを忘れてはいけないという戒めだ。ただ、名古屋戦でそれは実践できている。攻撃のコンダクターである高萩にも厳しいマークが寄せられるのは、火を見るより明らかだ。

「球際はかなり激しく厳しく来ると思っています。そこで失うと相手のチャンスにつながりやすいので、失わないようにしないといけないと思っています。相手はダブルボランチで来ると思うので、その2人がつかみづらいポジションを取りたい」

 前回はチームが最も苦しい5月のアウェーゲームだった。元気なく0-3で敗れて、今季最長の5連敗目を喫することになった。でもそれはもう、半年近く前の話。そこからはい上がってきた強さをホームで見せなければならない。

「同じシーズンで同じ相手に2度、負けることは避けなければいけません。ホームでしっかり借りを返したい」

 今度も多彩なワンタッチパスで、鹿島を幻惑するつもりだ。