10月16日の明治安田生命J1リーグ第32節で浦和レッズとガンバ大阪が対戦。キックオフ直後から攻めに攻めた浦和だが、どうしてもゴールを割ることができない。ようやく90+1分にPKを江坂任が決めて先制するが、そのキックオフから今度はG大阪がPKを手にしてパトリックが決め、1-1のドローに持ち込んだ。

上写真=90+1分に江坂任がPKを決めてついに先制。しかしこの直後にまさかの同点PKを許す展開に(写真◎J.LEAGUE)

■2021年10月16日 明治安田生命J1リーグ第32節(@埼玉/観衆10,233人)
浦和 1-1 G大阪
得点者:(浦)江坂 任
    (G)パトリック

「選手は勝利への執念を見せてくれた」と松波監督

 浦和からすれば、あまりにももったいない。G大阪の立場では、なんとか命拾い。PK、そしてPKと、結果的にアディショナルタイムに生まれた2つのゴールによって勝ち点を分け合うことになった。

 まずは浦和。江坂任の左からのセンタリングをブロックした際に、ボールが菅沼駿哉の手に当たったとして、VARチェックからオンフィールドレビューを経てPKの判定に。これを90+1分に江坂任がきっちり決めて先制した。

 G大阪はこのキックオフから前線に大きくボールを送ると、パトリックが触ったボールが岩波拓也の手に当たってPKに。これはパトリックが決めて、90+4分に同点に追いついた。

 なんとも慌ただしい最後になったが、それを浦和のリカルド・ロドリゲス監督は「説明のつかない試合になった」と評した。それもそのはず、前半からずっと浦和ペースで、チャンスを数え切れないほど作っていたのだ。

 2分の江坂任のミドルシュートに始まり、8分江坂、9分明本考浩、12分関根貴大、15分汰木康也、16分明本、20分汰木、39分江坂、42分柴戸海、45分江坂、55分平野佑一、60分汰木、74分岩波など、ビッグチャンスを絶え間なく作り続けた。

 でも、決まらない。往々にして、これだけの好機を逃すと相手にチャンスを与えがちだが、この日のガンバ大阪はぎこちなく、宇佐美貴史が何度か果敢なチャレンジを見せるぐらい。浦和を脅かす危険なシーンはほとんどなく、浦和の軽快なパスワークが目立つ展開になった。

 浦和のビッグチャンスはもう一つあって、1-1になったあとの90分+7分には、西大伍のシュートを岩波がフリック、田中達也がGK東口順昭と1対1になる絶好機を迎えた。ところが、右足で狙った至近距離からのシュートは東口の腕の中に。浦和は勝ち点2を取りこぼすことになり、リカルド・ロドリゲス監督も「勝利にふさわしい、多くのゴールが入ってもおかしくない内容だった」と嘆くばかりだった。

 G大阪としては勝ち点1をまんまと拾った結末になった。松波正信監督は「少ないけれどチャンスは作っていて、選手は勝利への執念を見せてくれた」ととにかく安堵の表情だった。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE