名古屋グランパスが国内3大タイトルで唯一、手にしていないのがルヴァンカップ。あと3試合で掲げることができるところまで来た。ホーム・アンド・アウェー方式の準決勝で立ちはだかるのが、FC東京。昨季も準々決勝で行く手を阻まれた相手に、マッシモ・フィッカデンティ監督はまず初戦にすべてを注ぐ意志を明らかにした。

上写真=フィッカデンティ監督は4つの大会を戦い抜くために、改めて一戦必勝を強調した(写真◎スクリーンショット)

「同じ考えでアプローチすべきです」

 4つの大会で勝ち残っている唯一のクラブが、名古屋グランパス。J1は3位を狙い続け、ルヴァンカップではベスト4進出、天皇杯では8強に残っていて、AFCチャンピオンズリーグでも準々決勝を控えている。

 10月はどの大会でも大一番を迎えるが、まずは10月6日と10日に予定されているルヴァンカップ準決勝である。相手はFC東京。

「ルヴァンカップのディフェンディングチャンピオンで、カップ戦の勝ち方をよくわかっている相手です。より引き締めてミスをなくすことを徹底しなければならない」

 改めて「ミスをなくす」ことを強調するのは、10月3日のJ1第31節でサンフレッチェ広島に0-1で敗れたことが大きい。押し込んでいた試合展開で、35分の失点は中盤のミスで奪われてカウンターから食らったものだった。

 それでも、「あんな取られ方をしても、死んでいなかった」と逆襲に転じた選手たちの姿勢を称えている。タイトル獲得へ重要な10月を戦い抜くためには、下を向く暇はない。続くルヴァンカップは第1戦がホーム、第2戦がアウェーというスケジュール。まずは、中2日で迎える第1戦をどう戦うか。FC東京は中3日だから、その点だけを考えれば相手に有利だ。

「2試合をセットで、という形で戦うのは大事なことですが、結局は最初の90分に集中してすべてを出すことが重要です」

 準々決勝の鹿島アントラーズ戦でも最初はホームで2-0で勝利を収め、その勢いのままアウェーでも同じスコアで倒している。第1戦で勝利を収めた上で、第2戦に挑むことができた、という経験は踏まえたい。

「私たちがこだわっている、点を取らせないことをした上で、ゴールを決めることをやりきって鹿島戦の1試合目をものにできました。そして、2戦目にその優位を生かして勝てました。だから、同じことを繰り返すために、同じ考えでアプローチすべきです」

 そのために、「東京相手に勝利するためには、自分たちの力を100パーセント出し切ることが大前提になってくると思います」という強い意志が必要だ。

「鹿島戦の前も、2試合でセットだとは最初から考えていないと選手にも伝えていました。点を取って、点を取らせないことをやりきることに集中したいと思います」

 フィッカデンティ監督の指揮下では、FC東京との対戦は2020年がリーグで1勝1敗、ルヴァンカップでは1敗、21年はリーグで2分けだ。まずはこの2試合を突破して戦績で上回り、国内3大タイトルで唯一、手が届いていないこのカップを勝ち取るために、決勝進出を果たしたい。