上写真＝中村拓海が強敵相手にフル出場。前回対戦での悔しい思いを払拭すべく成長した姿を見せた（写真◎小山真司）
■2021年10月2日 明治安田生命J1リーグ第31節（＠等々力/観衆9,789人）
川崎F 1-0 FC東京
得点者：（川）レアンドロ・ダミアン
永井謙佑に通した 「狙い通り」のパス
FC東京が川崎フロンターレに挑んだ多摩川クラシコ。右サイドバックの先発起用に応えて最大のチャンスを作ったのは、中村拓海のパスだった。
74分にセンターサークル内にポジションを取っていて、そこに相手のパスミスが飛んでくる。すかさず左足でセンターバックの裏へと落ちるパスを選択した。ボールの先には永井謙佑。
「謙佑くんが（後半から）出ることになって、その足を生かそうとハーフタイムに話をしていました。走るのが見えていたし、僕が持ったら裏に走るからとコミュニケーションも取れていたので、狙い通りでした」
永井は絶妙なトラップで、飛び出してきたGKチョン・ソンリョンを右にかわしてがら空きのゴールに流し込んだ…はずが、ゴールイン寸前で猛然とカバーに戻ってきたジェジエウにかき出されてしまうのだ。
この中村から永井のパスは前回対戦となる第9節ではゴールに結びついていて、右からの中村の裏へのパスを永井が生かして中央へ、最後はアダイウトンが決めている。飛び出しとパス出しの感性がフィットするのだろう。
ただ、それよりも失点シーンを悔やんだ。
「取られ方が悪かったです。奪ったあとを大事にしようと言っていて、それが裏目に出たと思います」
一度は相手の攻撃を止めて、アダイウトンが自陣からハーフウェーラインを越えて左に持ち出したところで、囲まれて奪い返された。そこから中村のサイドに素早く運ばれた。
「自分のところで2対1を作られて、たらればですけど、もう一個早く寄せられたら良かったのにと。もう一度、映像を見て反省します」
右ボランチの青木拓矢はボールを持った家長昭博に当たりにいっていたからサイドが薄くなり、マルシーニョと登里享平を中村が1人で見る形になってコンビネーションで突破された。右センターバックの森重真人がサポートに来てくれたが、それでニアサイドが空いてしまい、レアンドロ・ダミアンにそこに入られて登里のクロスをヘッドで流し込まれた。
4月の前回対戦でも先発し、2-4で敗れている。しかも、自らがトラップしたボールを一瞬で奪われるミスから三笘薫に3点目を決められる屈辱も味わった。今回、もう一度対戦してみて、そのときから成長した実感を得た。
「奪ったあとに自分のところで（パスの）逃げどころになるところや、まだ守備は課題ですけど強くいくところはいけていましたし、今回も負けましたけど成長は見えたと思います」
2022年に対戦するときには、さらに進化して、勝つ。
取材◎平澤大輔 写真◎小山真司