上写真＝登里享平が貴重な決勝ゴールをアシスト。テンポを変えて合わせたクロスがレアンドロ・ダミアンの頭にぴたり（写真◎小山真司）
■2021年10月2日 明治安田生命J1リーグ第31節（＠等々力/観衆9,789人）
川崎F 1-0 FC東京
得点者：（川）レアンドロ・ダミアン
「がむしゃらに食らいついていく」
「本当に情けないぐらい疲れていました、正直なところ」
さすがの登里享平も疲れの色を隠さない。10月2日、J1第31節のFC東京戦。川崎フロンターレにとってはAFCチャンピオンズリーグを戦った韓国から戻ったあとに、隔離生活を送りながらの15日間で5試合目、しかも中2日の試合が2試合続くという過酷すぎる条件で迎えた「多摩川クラシコ」だった。
「前半は全然走れていなかったですし、タフさが自分にないなと」
苦笑いで振り返るが、それでもアシストという結果を残すのだから、やはり一味違う。
45＋1分、家長昭博が左サイドのマルシーニョへ。
「最初はインナーラップをかけようと思ったんですけど、（マルシーニョが）中にドリブルすると思ったのでランニングの方向を変えたら、タイミングよく思った通りのパスが来ました」
マルシーニョが左から中にカットインするコースの邪魔にならないように、外に回った。そこへマルシーニョがボールを預けてくれた。ニアにはレアンドロ・ダミアンが入ってくる。家長のパス、マルシーニョのドリブルとパスのスピード感から一転、ふわりと上げて、レアンドロ・ダミアンの頭にきっちりと合わせた。
「ノボリとは日頃からいいコンビを出しているので、ゴールで勝利もたらしことができてうれしいです」と喜んだのは、決めたレアンドロ・ダミアンだ。
1点リードのまま後半に入っても、やはりFC東京に攻められた。後半は対面にディエゴ・オリヴェイラが移ってきて、さらにタフな守備の対応が必要になった。しかし、集中力だけは失わなかった。
「相手は能力ある選手ばかりで、粘り強くやることを心がけていました。がむしゃらに食らいついていくことを意識していたので、原点に戻った感じでしっかリ抑えるところに集中できたと思っています」
苦しいからこそ、できることを整理して集中する。81分にピッチを去ったが、左腕に巻いたキャプテンマークにふさわしい働きだった。
「我慢するところの意思疎通ができているので、みんな頼もしいな」と苦しみを乗り越えて、一体感がますます高まった実感がある。連覇へと突き進むこのチームには、鬼に金棒である。
取材◎平澤大輔 写真◎小山真司