9月29日の明治安田生命J1リーグ第28節で、ヴィッセル神戸は首位の川崎フロンターレから先制点を奪いながら、後半に3ゴールを許して逆転負けを喫した。武藤嘉紀は2試合連続ゴールを決めたが、追加点を奪えなかった責任を痛感していた。
上写真＝イニエスタ、大迫勇也、武藤嘉紀で先制弾。高い技術と勘どころを押さえたコンビネーションだった（写真◎J.LEAGUE）
■2021年9月29日 明治安田生命J1リーグ第28節（＠等々力/観衆4,932人）
川崎F 3-1 神戸
得点者：（川）レアンドロ・ダミアン、オウンゴール、家長昭博
（神）武藤嘉紀
勝ち点54で並ぶ浦和との決戦へ
自らの好調を示す2試合連続ゴールであっても、勝てなければ意味がない。
「自分のゴールやアシストはチームを勝たせるためにあると思っています」
16分に先制ゴールを挙げたものの、後半にPKを決められ、さらに二つの決定的なミスを失点に結びつけられて1-3で逆転負け。AFCチャンピオンズリーグ出場権を手に入れる3位以内に入るためには、手痛い勝ち点ゼロになった。
ただ、その先制ゴールは無駄のない機能美にあふれていた。
イニエスタが中盤の左寄りで持って右方向を向いたのだが、腰を鋭く回して出したパスは左裏へ送られた。そこには大迫勇也。マークについたジェジエウを相手に細かくボールを動かしてからシュートフェイントを入れる間に、武藤が音もなくゴール前に入ってきて、大迫がパス。武藤はがら空きのゴールに流し込むだけでよかった。
それでも敗戦の事実はのしかかる。
「1-3で負けて、初先発の若い選手（櫻井辰徳）もいましたし、試合が終わったあとに泣いていたりしていて、そういうのを見ると、僕たちがもっと点を取って勝たせてあげたかったと思います」
チームを支える主力の責任を、若手の涙で改めて痛感した90分。「だからこそ」と力を込める。
「だからこそ一丸となって、浦和戦は大事になってくると思います」
同じく3位以上をターゲットにする浦和レッズとの直接対決。5月の対戦は0-2の黒星だったが、武藤は加入前だから出場していない。自ら3試合連続ゴールを決めて、勝ち点54で並ぶライバルをたたいてみせる。勝てば3位浮上だ。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE