上写真＝3点目を決めた家長昭博を仲間が祝福。川崎Fが3試合連続逆転勝利（写真◎J.LEAGUE）
■2021年9月29日 明治安田生命J1リーグ第28節（＠等々力/観衆4,932人）
川崎F 3-1 神戸
得点者：（川）レアンドロ・ダミアン、オウンゴール、家長昭博
（神）武藤嘉紀
「プレゼントする形になった」と悔やむ三浦淳寛監督
最初に試合を動かしたのは、イニエスタの驚きのミドルパスだった。
13分、中盤左寄りでボールを持って右を向くと、前線では大迫勇也が左へダッシュ。イニエスタがこれを見逃すはずもなく、腰を切るように回して左裏にミドルパスを送った。大迫は細かいボールタッチとシュートフェイントでジェジエウを手玉に取ると、その間にゴール前に上がってきた武藤嘉紀に渡してそのままゴールに流し込んだ。
3人の欧州基準のコンビネーションは何度も川崎フロンターレを困らせた。特に大迫はジェジエウとの駆け引きを楽しむようにボールを引き出し、時間を作り、武藤やイニエスタを使いながら攻めていった。神戸はボランチのコンビがここまでのセルジ・サンペールと山口蛍から、大崎玲央とJ1初先発の櫻井辰徳に代わっていた。だが、中盤で破綻することはなく、前半を無失点で乗り切った。
連戦続きでこの試合も中2日で迎えた川崎Fは、ここ2試合に続けて前半が重かった。とはいえ、こちらも得意のコンビネーションは随所に見られ、ゴールに迫っていった。後半に入るといきなり開始直後に左を割り、マルシーニョのセンタリングをレアンドロ・ダミアンが落として脇坂泰斗が狙って、攻撃の強い意志を見せた。シュートはわずかに左へ切れていったが、これが号砲になった。
52分、再び左を抜け出したマルシーニョがそのままペナルティーエリアに入ると、菊池流帆に倒されてPKを獲得。これは家長昭博が左ポストに直撃させてしまうのだが、すぐあとの56分には、山根視来が右からセンタリングを送ると、大崎にハンドの反則があったとして、またもやPKに。今度はレアンドロ・ダミアンが真正面に決めきって、同点に追いついた。
ここから球際のバトルがますます激しくなり、切り替えの速さで徐々に川崎Fが上回る時間が増えていく。すると76分、山根が相手のトラップミスを奪って家長とのワンツーで抜け出してセンタリングを送ると、トーマス・フェルマーレンのオウンゴールを誘って逆転。さらには85分、右サイドでボージャン・クルキッチの痛恨のパスミスを宮城天が拾って右へ、旗手怜央が足裏で残すと家長が後ろに戻りながら左足をコンパクトに振って、ゴール左へときれいに流し込んだ。PK失敗の汚名を返上し、チームの1試合3ゴールというノルマを3試合ぶりにクリアする一発になった。
神戸にとっては2点目、3点目を献上したミスが痛かった。三浦淳寛監督は「PKになったり相手にプレゼントする形になったり、首位のフロンターレさんに対してミスをすると失点につながると改めて思いました」と今季初の逆転負けに多くの反省が残った。
最終的には川崎Fがコンビネーションの質と量で勝り、3試合連続の逆転勝利。後半から一気にパワーを注いだことは明らかで、鬼木達監督も「反省するとすれば、前半に少し受けてしまったこと。そこで自分たちからもっともっとアグレッシブにリスク管理もやれればよかったと思います。後半、全員が締め直してねじを巻き直して立ち上がりから一気に仕掛けてくれて流れが変わりました」と後半に厳しく送り出したことで、一気に盛り返した。鬼木監督が「勝負の5連戦」と呼ぶ戦いもこれで4連勝。次のFC東京戦で全勝を狙う。
現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE