上写真＝車屋紳太郎は約1カ月ぶりの復帰戦で安定したパフォーマンス（写真◎小山真司）
■2021年9月26日 明治安田生命J1リーグ第30節（＠等々力/観衆4,897人）
川崎F 2-1 湘南
得点者：（川）旗手怜央、知念慶
（湘）田中聡
「早く復帰して力になりたいと」
車屋紳太郎が帰ってきた。
9月1日のルヴァンカップ準々決勝第1戦で負傷して以来、およそ1カ月ぶりのピッチ。J1第30節の湘南ベルマーレ戦で先発に起用された。
「ケガをしてから連戦続きで、他の選手に負担をかけていたから、早く復帰して力になりたいと思っていました。最後まで苦しみましたけれど、勝利で終えてよかった」
アディショナルタイムに知念慶が決める劇的な逆転勝利を手にしてホッとした様子だが、センターバックとしては先に失点したことを猛省する。
「前半はなかなか押し返せなくて、チャンスはあったけれど決めきれないことが多くて、カウンターを悪い流れから受ける悪循環でした」
15分の失点もミス絡み。前半は湘南が施してきた対策に後手に回った。だが、後半開始から3人を代え、65分に家長昭博が入ると一変。「前半はダブルボランチのような形でスタートしましたけど、前でサポートが少なかったと思います。インサイドハーフが2人いると攻撃に厚みが出ました」と修正に成功し、66分には旗手怜央が決めてようやく追いついた。
この後も湘南は鋭いカウンターを仕掛けてきたが、車屋が見事な対応で止めてみせるのだ。68分には畑大雅が右サイドに出てきたところで山根視来と挟み撃ちしてドリブルをストップ、78分には同じくロングボールで抜けてきた町野修斗と1対1となったが、相手がスピードを上げる瞬間に先回りしてボールとの間に体を入れて奪いきった。1分後にはジェジエウが畑に振り切られてセンタリングを送られるが、ニアサイドで相手より先に左足を伸ばしてクリアした。すべて、自分が担当する左のエリアではなく、右に回ってのプレーだった。
「相手もクロスに対しては体を投げ出して入ってくるので引いてはいけないと思っていたし、相手の2トップが裏へのランニングをかけてきたので、ポジションを捨ててでも逆のカバーまで行く必要がありました。前半はもう少しリスクマネジメントをしなければいけなかったけれど、1失点してしまってもうそれ以上は点をやれない状況の中では、最後まで要所でパワーを出せたと思います」
こうしてさらなる失点を未然に封じ込んだからこそ、知念の劇的逆転弾が生まれたわけだ。
同じく負傷で戦列を離れていた谷口彰悟も前節から復帰するなど、徐々に陣容が整いつつある。車屋の復帰を祝うこの勝利で、2位の横浜F・マリノスとは9ポイントの差がついた。残りは8試合。一気に優勝へと走り出す最高のタイミングで、頼れるレフティーセンターバックが帰ってきた。
取材◎平澤大輔 写真◎小山真司