9月25日に明治安田生命J1リーグ第30節でFC東京が浦和レッズを迎えた一戦で、キックオフからわずか37秒でスコアが動いた。決めたのは田川亨介だ。森重真人のロングパスに抜け出して左足で決めきって、3カ月ぶりの得点を喜んだ。

上写真=あっという間に決めた田川亨介(27)を中心に喜びの輪。FC東京がいきなりの先制ゴールで試合を動かした(写真◎J.LEAGUE)

■2021年9月25日 明治安田生命J1リーグ第30節(@味スタ/観衆4,875人)
FC東京 1-2 浦和
得点者:(F)田川亨介
    (浦)酒井宏樹、江坂任

「うまく合わせられたと思います」

 電光石火の先制ゴールは、田川亨介の左足から生まれた。

 浦和レッズのキックオフで始まったゲームは、ロングキックミスでボールがFC東京に渡った。波多野豪、ジョアン・オマリとつながったボールが森重真人の足元に収まると、前線で左から中へ田川がダッシュ、そこに森重が最高のロングパスを送り込んだ。田川は胸で突き押すようにボールを前に運んでから、GK西川周作を破る左足のフィニッシュ。キックオフからわずか37分の早業だった。

 リーグ戦での先発出場は8月25日のベガルタ仙台戦以来だから、ちょうど1カ月ぶり。「ベンチにいい選手がいるので、いけるところまでいこうと思っていました」とフルスロットルの意欲が生んだゴールだ。6月23日の徳島ヴォルティス戦からおよそ3カ月ぶりと、久々に味わう歓喜だった。

 対峙した相手は、世界を知る酒井宏樹。「スピードがありますし、身体能力の高い相手なので、裏を取れたことは良かったと思います」と、スピード勝負の勝利は自信になる。森重が持ったときには「来るかなという感じはあったので、あのタイミングでうまく体が動いてよかった」と、出し手と受け手の感覚がぴたりと合ったゴールだった。

 これまでも絶好機を迎えながら、シュートが枠をとらえきれずに決めきれなかった。今回は、胸トラップのあとに2バウンドさせてからというリズムでのシュートで、「ボールに追いついたときにたまたまそのタイミングでした」と狙ったわけではないが、「うまく合わせられたと思います」とインパクトの瞬間まで神経を研ぎ澄ませていた。シュートの正確性は「自分の課題でもあったので、練習の成果かなと思います」とトレーニングの効果を実感した。

 61分にも絶好機を迎えている。右からの森重の左足のクロスにヘッドで巧みに当てて際どいシュートを放った。しかし、バーを直撃して、思わず頭を抱えた。

 結局、前半終了間際と66分に決められて逆転負け。今季5ゴール目だったが、これまではすべて勝利に結びついていた。次こそはまた、ゴールを勝利に結びつけてみせる。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE