9月25日の明治安田生命J1リーグ第30節でFC東京と浦和レッズが対戦。ともにAFCチャンピオンズリーグ出場圏内の3位を目指すには負けられないゲームだった。開始37秒でFC東京が先制する驚きのスタートになったが、慌てずにゴールを目指した浦和が2ゴール。冷静に逆転勝利を収めた。

上写真=66分に江坂任が価値ある逆転弾。仲間に祝福される(写真◎J.LEAGUE)

■2021年9月25日 明治安田生命J1リーグ第30節(@味スタ/観衆4,875人)
FC東京 1-2 浦和
得点者:(F)田川亨介
    (浦)酒井宏樹、江坂任

「敗因は私にある」と長谷川監督

 開始直後と終了直前。前半の2つのゴールは、いわゆる危険な時間帯に生まれたものだった。

 最初はFC東京。キックオフ直後に森重真人が最後尾からロングパス、抜け出した田川亨介が胸トラップから得意の左足でしっかりと蹴り込んで、わずか37秒で先制する驚きのスタートになった。

 ここからは完全に浦和ペース。いつものようにボールを動かして穴を探り、FC東京はしっかり構えて永井謙佑の俊足を生かしたカウンター狙いの構図になった。しかし、30分すぎにはFC東京も押し込み始めて、渡邊凌磨が3度、ジョアン・オマリが一度、ビッグチャンスを迎えるなど、ゴールを脅かした回数で言えばホームチームのほうが多かった。

 しかし、アディショナルタイムに浦和が追いついた。右サイドで柴戸海が縦に刺し、平野佑一がターンから短くさらに縦へ、最後は酒井宏樹がGK波多野豪の股を抜くシュートで同点に追いついた。

 浦和にとってはこれが大きかった。リカルド・ロドリゲス監督も「前半のうちに1-1にできて勢いを取り戻し、自信を失わずにプレーできた」と勝負の流れを決めるゴールだったと称賛した。FC東京の長谷川健太監督からすれば「前半は持ち直して押し切れればと思っていましたが、最後の最後でもったいなかった」となる。

 FC東京は後半開始からディエゴ・オリヴェイラと東慶悟を投入して、さらに攻撃へとシフト。一進一退の攻防を繰り返し、FC東京がディエゴ・オリヴェイラの左足ミドルや田川亨介のヘッド、浦和が平野佑一の左足とチャンスを迎えたが、結果をに結びつけたのは浦和のほう。66分に右から左へ素早い横パスを連続して関根貴大の足元に入ると、少し持ち出して左足で強烈なシュート、バーに当たってはね返ったところを江坂任がきっちり押し込んで、逆転してみせた。

 FC東京は直後の飲水タイムを利用してシステムを変更、さらにはセンターバックのブルーノ・ウヴィニを最前線に投入してパワープレーに出るなど猛然と迫ったが実らず。長谷川監督は「最後までゴールへの意欲を見せてくれた。敗因は私にある」と責任を負った。

 リカルド・ロドリゲス監督は確かな逆転勝利にも冷静。「しっかり我慢しながらプレーできた。堅い相手に対して、積み重ねてきたオプションを利用して攻めることができた」と、チーム力の高まりを結果に落とし込んで、慌てず騒がずクールな逆転勝利に納得の表情だった。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE