上写真＝61分、ファン・アラーノがヘッドで先制ゴール。緊迫した試合を動かした（写真◎KASHIMA ANTLERS/J.LEAGUE）
■2021年9月22日 明治安田生命J1リーグ第32節（＠カシマ/観衆4,925人）
鹿島 1-2 川崎F
得点者：（鹿）ファン・アラーノ
（川）山村和也、宮城天
「前半戦の等々力での試合と似ている」
幸運なバウンドも含めて、見事な先制点だった。
鹿島アントラーズが首位の川崎フロンターレを迎えたJ1第32節。お互い高い集中力を保った試合はなかなかスコアが動かない緊迫の展開だったが、61分に均衡を破ったのはファン・アラーノ。安西幸輝が左サイドを突破して送ったクロスに、逆サイドから中央に入ってヘッドで押し込んだ。
相手と競り合いながらちょうどたたきつけるような形になり、バウンドしたボールが大きくはねて、横っ飛びしたGKチョン・ソンリョンの上を越えてゴールに吸い込まれた。
「安西選手が相手と対峙しているところで、最後にクロスが上がってくるだろうと思っていました。センターバックとサイドバックの間にスペースが空いていて、入り込んだタイミングでボールが低かったので、枠に飛ばそうということしか考えていませんでした。バウンドしたところで、相手のゴールキーパーにとって難しい軌道になったのではないかと思います」
バウンドを狙ったというよりは、低いボールに対して頭でねじ伏せるような形になったが、これが功を奏したわけだ。
ファン・アラーノが悔やんだのは、ここからの戦いだった。もう1点を取るべきだったという後悔だ。
「点を取ってから試合を落ち着かせる意味でボール保持を心がけるのも一つかもしれないですし、あとは2点目を取ること。追加点を取るチャンスはあったので、そこの部分でしっかり勝ち切らなければ」
例えば74分に、ディエゴ・ピトゥカがカウンターで左サイドに運び、土居聖真に預けて最後はディエゴ・ピトゥカが左足で狙ったがわずかに右に切れ、78分には荒木遼太郎がパンチのあるミドルシュートを放ったが左にそれていった。
その点で、川崎Fがセットプレーをきっちりゴールに結びつけてきたところが勝負の綾になった。
「彼ら（川崎F）が同点に追いついたところで勢いを渡してしまったので、そこで試合を失った部分があると思います」
さらにはアディショナルタイムにもゴールを許して、劇的な勝利を渡してしまった。
「先制して、またスコアを積み重ねられる場面が何度もあって、前半戦の等々力での試合と似ているかなというのが正直な感想です。同点に追いつかれて、またラストプレーでやられました。非常に難しい心境です。ただ、次に試合があるので、また切り替えて準備していきたいと思います」
残りは8試合。悔しさはそこにぶつけるしかない。