ケヴィン・マスカット監督が「真実ではない」と完全否定だ。明治安田生命J1リーグ第29節の名古屋グランパス戦で主審のホイッスルと間違うような音が聞こえ、それが横浜F・マリノスのベンチから発せられたのではないかという、いわゆる「指笛疑惑」。優勝争いへ負けられない状況で起きた「事件」を否定し、横浜ダービーへ向かう姿勢を示した。

上写真=マスカット監督は名古屋戦で起こった「指笛疑惑」を完全に否定している(写真◎J.LEAGUE)

「名古屋戦の敗戦から学ぶものある」

「真実ではない」

 横浜F・マリノスのケヴィン・マスカット監督は、疑惑を真正面から否定した。J1第29節の名古屋グランパス戦、26分頃に名古屋が左からカウンターを仕掛けたシーンで笛の音のようなものが聞こえたために選手たちが一瞬、足を止めた。しかし、主審はホイッスルを吹いていない。名古屋のマッシモ・フィッカデンティ監督らは横浜FMベンチを指差して抗議した。指笛のようなものが吹かれたのではないか、という疑惑である。

 第26節のサガン鳥栖戦、第27節の鹿島アントラーズ戦、第28節のサンフレッチェ広島戦でも同様の事象が認められたことを指摘するファンもいて、騒動になっていた。

 マスカット監督はこれを受けて「普段であればこういう質問には答えませんが」としながら、第4の審判員も副審も指摘しなかったこと、誰がやったかわからない憶測であることも含めて、「決して真実ではありません」と訴えた。

 その名古屋戦は攻め続けながらも相手に効率よく得点を重ねられ、杉本健勇が1点を返したものの1-2で手痛い黒星を食らった。翌日に首位の川崎フロンターレが徳島ヴォルティスに勝利を収めたために、横浜FMの消化が1試合多い状況で勝ち点4差と開いた。22日に川崎Fが鹿島アントラーズ戦でもし勝てば、試合数が並んで勝ち点差は7に開く。

「勝ち点のことや、どこが首位であるかといったことに重点を置くというのは、私とは違う考えです。すべてのチームを尊重しながら対戦しますし、順位のことも関係なく戦うのが私たちです。サポーターのためにプレーしたいですし、ダービーですから、サポーターの皆さんに自分たちのサッカーを見せることが重要だと思っています」

 マスカット監督にとっては初めての横浜ダービーになる。

「いつものゲームと変わりなく勝ち点3を目指す一戦ですが、やはり同じ街にある2つのチームの対戦ですから、自分たちがどう思うかではなくて応援してくださっているファン・サポーターのみなさんのために戦うのがダービーです」

 前回対戦は5-0で圧勝している。現在も横浜FMが2位、横浜FCが最下位と置かれた立場は真逆だ。「名古屋戦の敗戦から学ぶものはある」と前向きに反省を生かし、チアゴ・マルチンスや仲川輝人が負傷から帰ってきた明るい話題もある。

 だがそれでも、何が起こるかわからないのがダービーマッチ。

 いろいろな意味で注目を集めるダービーになることは間違いなさそうだ。