上写真＝登里享平は蔚山現代戦で敗退した悔しさを、残りのJ1と天皇杯にぶつけていく（写真◎AFC）
「サポーターには申し訳ない気持ちでいっぱいです」
いつも明るい登里享平が、重々しくあの試合を振り返る。9月14日のACLラウンド16、川崎フロンターレは蔚山現代（韓国）と延長戦まで120分を戦い抜いて0-0で、その後のPK戦で2-3と敗れて敗退が決まった。
「今シーズンが始まる前からACLの制覇を目標にしていましたし、失望感や悔しさはありました」
「タイトルのチャンスがあった中で、（ルヴァンカップとともに）立て続けに失ったので、サポーターには申し訳ない気持ちでいっぱいです」
いまやタイトルコレクターの川崎Fに欠けている最大の王冠が、ACL。それを本気で獲りにいったが、かなわなかった。
何の慰めにもならないだろうが、この昨季ACLチャンピオンとの試合そのものに敗れたわけではない。得たものもあった。登里個人のことで言えば、対面に立った韓国代表のスピードスター、イ・ドンジュンとのデュエルに勝利し続けたことだ。
「マッチアップはしっかりと分析の人も映像を用意してくれて、ホテルで過ごす中でイメージしながら挑めた結果、抑えられました。対面してみてやはりスピードはありましたが、試合の序盤でわりとランニングをかけてきたのでそれで早めに特徴をつかむことができて、しっかりと冷静に対応することを意識できました」
最初からフルパワーで仕掛けてきてくれたその力を逆利用して、素早く対応できたのはさすがだ。この経験は、J1連覇をかけて戦う残り11試合に生きてくる。
「悔しさはピッチでしか晴らせないので、しっかりまた応援してもらえるように次の試合に向けていい準備をしたいと思います」
1試合消化が多いとはいえ、横浜F・マリノスが勝ち点1差で猛追してきている。だが、川崎Fは残り11試合、勝ち続けていけばいい。蔚山戦を終えて翌日に日本に戻ったときには、すでにチームは切り替え完了と自信を持っている。悔しさを引きずらないために求めるのは、勝利のみ。その最初の試合は徳島ヴォルティスが相手だ。
「敗退したあとに必ず勝つことでしっかり流れを切ることですね。連敗しないことが大事ですし、それはここ数年意識しているのでしっかりと戦いたいと思います。内容良く勝てればいいけれど、まずはしっかり勝ち点3を取ることでリズムに乗っていければと思っています」
徳島戦に限って言えば、最優先は勝ち点3。内容はあとからついてくる、という割り切りだ。その意味では、連覇を占う大事な90分になりそうだ。